加納治五郎の命日
私の家の近くに、柔道の生みの親である加納治五郎の別荘跡があり、また彼の墓も、そお遠くない場所にある。
今日、5月4日は、
柔道の生みの親である加納治五郎の命日。
氷川丸の船内で肺炎により亡くなってから、88年が経つ。
墓を訪ね、墓石を眺めていると、一人の男性が入ってきて
帽子を脱ぎ、墓石に向かって深々とお辞儀をした。
そして私に向かって、「こんにちは」と挨拶をしてくれた。
「あなたも柔道家ですか?」
そう尋ねられ、私は少し慌ててしまった。
「いえいえ……友達の息子さんが柔道をやっているので、彼らの代わりに来ました」
男性はとても感じがよく穏やかで、
小柄ながら無駄なぜい肉がなく、体が引き締まっている。
背筋はすっと伸び、歩く姿も軽やかだ。
何気ない会話の中で、
「私ももう、90歳になりましてね……」と言われたとき、
一瞬、意味が理解できなかった。
「90?」
そして思わず、
「えっ、90歳なんですか!」と大きな声で聞き返してしまった。
どう見ても60代にしか見えない。
さらに、彼が八段を持っていると言ったとき、
柔道に疎い私はそれがどれほどのものか分からず、
「そ~ですか~」と頷いてみるだけだったが、
家に帰って調べてみて、その凄さを知った。
男性は再び墓石に深く一礼し、
私にも丁寧にお辞儀をして、その場を去っていった。
残された私は、墓石に向かい、いくつかの願いを唱えた。
まず、アニエッサの二人の息子が、ますます柔道で強くなりますように。
そして、柔道を通じて、世界の人々が少しでも良い方向へ向かいますように、と。
加納治五郎が掲げたモットーには、次のようなものがある。
・個人に対しては、身体強健、知徳の練磨、
社会において有力なることとする。
・国家においては、国体を尊び歴史を重んじ、
その隆昌を図るため、常に必要な改善を怠らない。
・社会にあっては、個人・団体ともに互いに助け合い、
譲り合い、融和を実現する。
・社会においては人種的偏見を持たず、文化の向上、人類の共栄を図る。
〈人種的偏見をせず〉、〈文化の向上〉、〈人類の共栄〉。
本当にこれらが実現されているのなら、今ごろ戦争はないはずだ。
柔道を通じて、少しでも世界にリスペクトが広がってくれたらいいな。
そんなことを強く感じた、今日この頃です。
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