今日から、回復に向かってます
朝起きたら、私は生まれ変わっていた。
喉の奥に、引っ掻かれたような傷の痛みがあって、
水を飲む度、その刺激に反応してむせ返していた
けど、今日は、水が喉をすんなりと通ってくれる。
頭の両端をネジで締め付けられたような、
軽い拷問にでもあったような頭痛があったけど、
今日は、そのネジからも解放された。
筋肉痛も消えている。
こうなったら、わざわざ熱を測ってみる必要もない。
ここ数日間、横になっていただけだが、
その間、私の体はウイルスの攻撃に耐え、免疫がそれを追い払うために、本当に頑張ってくれていた。
ありがとう。
私の場合、よくある風邪だから、
ほんの少しの安静で回復する事が分かっていたけど、
世の中には、厄介な病気に侵され、長い時間苦しんでいる人がいることに、ふと思いを馳せる。
改めて「病気の時って、こういう気分になるんだな」と自分でこの状況を書き留めておきたい。
どんなに美しい音楽であっても、
心は「それどころじゃないんだ。そっとしておいてくれ」と耳をふさぐ。
どんなに美味しそうな食事を目にしても、
「今は、バナナか少量のアイスクリームが精いっぱいなんだ。そっとしておいてくれ」と目を背ける。
どんなに励ましの言葉を投げかけられても
「今は、会話に頭を使ってられないんだ。そっとしておいてくれ」と愛想笑いを消す。
電話も困る。
唯一、痛みを忘れられる夢のような時間から現実に戻されてしまうから。
そんな、外部からの刺激を受け付けない中でも、
マッシモの存在は大きかった。
私が欲しいもの
バナナ、アイス、フルーツ味のヨーグルト、プリンを届けてくれた。
私がお金を払おうとしても、彼は受け取らない。
私は、バナナとアイスクリームを口にして、ベットに戻ったが、彼はもう少し私と居たくて、別の部屋のソファーで横になった。
小一時間が過ぎ、私たちは目を覚ました。
「キヨミ、どう?」
「頭が痛いの。これから開放されたい」
薬が入っている棚には、アブに刺さされた時の薬や火傷薬はあるが、鎮痛剤は見当たらない。
「買ってくるよ」
「大丈夫。明日には治っているはずだから。
今日だけ我慢すればいいだけだから」
「いや、このまま、キヨミをこの状況にしてられないよ。買ってくる」
日曜日、シエナでは空いている薬局は限られていて、
今日は、どの薬局が開いているのか分からないが、
そんな条件を考えず、マッシモは出て行った。
そして、一箱の薬を私に手渡してくれた。
私は20€を渡したが、
彼は薬代も受け取らなかった。
私が困っている時、そんな私を、
どんな目で覗き込もうとしてくれるのか?
目は、全てを物語る。
マッシモのそれは、まるで、自分の事のように困った目をしていて、どこまでも優しくて、温かい目をしていた。
ありがとうね、マッシモ。
今日も、ゆっくりと家で過ごします。
| 固定リンク
