シエナ風 年輩女性のゾーンに入ってきました
何年ぶりだろう?
いや、何十年ぶりだろう?
長いこと封印していた自分への関心が、
ふつふつと目覚め始める。
出かける前や、夜、一人で過ごす時に、
GuerlainのMitsoukoを腕につけて、
いつもの香りをまとってみる。
「うん。これだ」
つけはじめはアグレッシブで挑発的。
でも、時間が経つにつれ、
熟れた果実と甘く焦げたようなスパイス香が溶け合って、エキゾチックないい感じになっていく。
そうやって、私がMitsoukoを使い続けていくうちに、もし、マッシモがふと街で、この香水をまとった女性とすれ違ったなら、私を思い出すだろう。
だから、他の香水をあれこれ楽しみたいとは思わない。
Mitsouko、一点。
こう綴ると、ラグジュアリーな世界観を漂わせているようだが、もっと簡単に言ってしまうと、犬や猫のマーキングのようなものかもしれない。
縄張りを主張するわけではないが、
これも私流、自己アピールの一つだ。
私はスキンケアに無頓着で、
化粧水も日焼け止めクリームなども持ってないし、これからも持つ気はない。
けれど、香水を意識し始めた頃から、
「口紅くらいはつけてみようかな?」
という気になってきた。
1か月前、日本に帰省した日の夜。
「お母さん、口紅、もらっていい?」
そう聞くと、「あ~、持ってきなさい、持ってきなさい」と
母は予想通りの反応をしてくれた。
母は、化粧をばっちりとするタイプではないが、洗面台の棚には、シャネルの口紅が30本以上並んでいる。
これは、妹が海外旅行をする度に、免税店で買ってきたもので、中には、未使用のものや、同じ色番のものまで混ざっている。
その中から、オレンジや朱色のようなポジティブ系の色を避け、ブラウンがかった色を選んでみた。
シエナに戻り、さっそく、外出のときに付けてみる。
正直言って、鏡の中の私が劇的に変わったとは思えない。
それよりも・・・
口紅を塗った瞬間から口中にまとわりつく
あの化学的な妙な味。
世の中の女性は、この味に平気でいられるのかな?
唇に色をのせると同時に、口中にも、
インクのような味が塗りたくられてしまう。
この状態で、もし、搾りたてのリコッタチーズや、新鮮な白身魚の刺身、澄んだ日本酒を口にしたら、食材に申し訳ないな。
少し複雑ではあるが、自分を装う楽しさが、
ゆっくりと確実に膨らんでいる。
イタリアに来たばかりの時、
イタリアはオシャレな国だとは知っていたが、
年を重ねた女性たち・・・
マダムや高齢の女性たちほど、
そのセンスが濃く、堂々としている様子に目を奪われた。
「年を取るとね、どうしても衰えていくでしょ。
だからこそ、明るい色の服やジュエリーを身につけて
オシャレをしなくちゃね」
昔、ローマ門の外にある老人専用の施設にピアノのボランティアで行った時、会場に集まる女性が、ジュエリーをまとってオシャレだった事に驚いた。
私のオシャレに対する覚醒は、きっとこれだ!
60歳まであと3年。
でも、その3年は、あっという間にやってくる。
今、60~70代マダムの装い、得にパンツとトップの着こなしが気になって仕方がない。
パンツの幅はどれくらい?
トップスの丈は?
トップスとパンツの色の組み合わせは?
スカーフや小物の遊び方は?
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