« 好奇心の芽 | トップページ | 柳宗悦の視点でシエナをみてみる »

2026年5月20日 (水)

またすぐに戻ってくるね~♪

「お母さん、じゃあ、そろそろ行くね」

スーツケースを引きずる音が、
母の耳に届く事に、痛みを感じた。

「もう、面倒くさいから、行っちゃう・・・・
 今、こうしている時間が辛いんだ・・・
 楽になりたいから、行くね・・・」

そう言って、母と抱き合った時、
やっぱり、涙が出ちゃった。

母は、私の背に回した手で私の背を叩きながら、
「きよさんは、宝。宝だよ」

と声をあげた。

予定より30分早かったが、
スーツケースをもって、成田空港に向かった。

1時間前のこと。

「お母さん、環境の変化にはストレスが伴うね。
 1か月近く、私とお母さんはここで穏やかに過ごした。
 平穏な習慣が身に着いてしまった今、
 それを切り離すの事に、大きなストレスを感じるの。
 でもさ、1日、2日、3日が経つうちに、
 その生活にも慣れていくんだよ。
 環境の切り替わりを感じる今、
 そう。今が一番、辛いの。
 ストレスを悲しみとして感じてしまう。
 今だけ、我慢しようね」

私は母に、落ち着いてこう語っていたのに、
出発の時間が近づくにつれ、
気持ちが高まってきて、一杯になってきた。

そして、母と抱き合った時に、溢れてしまった。

私が泣いたり、弱音をはいたりすると、
母は強くなる。

「きよさん、大丈夫。
 次回の帰省まで、あっという間だよ」

母は泣くどころか、
私を慰める逞しい母へとスイッチが入る。

この日の朝、母は白いブラウスにエメラルドグリーンの花の柄があるブラウスを来て、淡いグリーンのパンツをはいていた。

そして、淡いグリーンのスカーフを巻き、
薄くて軽い生地で出来た藍色のカーデガンが、グリーンの色調を引き締めていた。

私は母のお洒落のセンスに驚いた。

私がイタリアに戻る日の朝、
母はお洒落をして、
自分に意識を向け、
私がいない新なスタートに気合を入れていた。

私もしっかりします・・・

シエナに戻ります・・・・

|

« 好奇心の芽 | トップページ | 柳宗悦の視点でシエナをみてみる »