またすぐに戻ってくるね~♪
「お母さん、じゃあ、そろそろ行くね」
スーツケースを引きずる音が、
母の耳に届く事に、痛みを感じた。
「もう、面倒くさいから、行っちゃう・・・・
今、こうしている時間が辛いんだ・・・
楽になりたいから、行くね・・・」
スーツケースを引きずる音が、
母の耳に届く事に、痛みを感じた。
「もう、面倒くさいから、行っちゃう・・・・
今、こうしている時間が辛いんだ・・・
楽になりたいから、行くね・・・」
そう言って、母と抱き合った時、
やっぱり、涙が出ちゃった。
母は、私の背に回した手で私の背を叩きながら、
「きよさんは、宝。宝だよ」
と声をあげた。
予定より30分早かったが、
スーツケースをもって、成田空港に向かった。
1時間前のこと。
「お母さん、環境の変化にはストレスが伴うね。
1か月近く、私とお母さんはここで穏やかに過ごした。
平穏な習慣が身に着いてしまった今、
それを切り離すの事に、大きなストレスを感じるの。
でもさ、1日、2日、3日が経つうちに、
その生活にも慣れていくんだよ。
環境の切り替わりを感じる今、
そう。今が一番、辛いの。
ストレスを悲しみとして感じてしまう。
今だけ、我慢しようね」
私は母に、落ち着いてこう語っていたのに、
出発の時間が近づくにつれ、
気持ちが高まってきて、一杯になってきた。
そして、母と抱き合った時に、溢れてしまった。
私が泣いたり、弱音をはいたりすると、
母は強くなる。
「きよさん、大丈夫。
次回の帰省まで、あっという間だよ」
母は泣くどころか、
私を慰める逞しい母へとスイッチが入る。
この日の朝、母は白いブラウスにエメラルドグリーンの花の柄があるブラウスを来て、淡いグリーンのパンツをはいていた。
そして、淡いグリーンのスカーフを巻き、
薄くて軽い生地で出来た藍色のカーデガンが、グリーンの色調を引き締めていた。
私は母のお洒落のセンスに驚いた。
私がイタリアに戻る日の朝、
母はお洒落をして、
自分に意識を向け、
私がいない新なスタートに気合を入れていた。
私もしっかりします・・・
シエナに戻ります・・・・
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