人と小銭の響きがある日常より
日本滞在中は、歯医者、皮膚科、産婦人科、耳鼻科と、病院巡りのツアーをする。
今日は皮膚科。
診察を終え、
処方された薬を貰いに、
薬局へ行き、順番を待った。
言うまでもなく、
待合室は、高齢者が占めている。
「斎藤さま~、斎藤さま、いらっしゃいますか~」
柔らかな声が室内に広がる。
「斎藤さま~、斎藤さま~」
それでも、誰も立ち上がらない。
受付の女性がすっと席を離れ、
薬剤師のそばへ寄り 耳元で囁いた。
「あの、緑のマスクの女性です」
呼びかける女性は、今度はお腹に力を込め、
「斎藤さま~」と、緑のマスクの女性に向かって声を放った。
斎藤さまは、「あっ、ごめんね~」と言ってゆっくりと席を立ち、カウンターに着いた。
それからの斎藤様と薬剤師の声は
それからの斎藤様と薬剤師の声は
待合室で待っている私たちに全て筒抜けとなり、
斎藤様がどのような症状で悩んでいるのか?
この薬はどのように処方すればいいのか、
全て、把握してしまった。
続いて、別の薬剤師が男性の名前を呼んでいる。
この部屋には、男性はただ一人。
私の隣に座るその人しかいないので、
「呼ばれてますよ」と伝えると、
男性は、体をのけ反らせて
「おっ、そうですか、すみません」
といって、慌ててカウンターに向かった。
この男性と薬剤師の声も、筒抜けだ。
「お体の調子はいかがですか?」と問われ、
「いや~、それが・・・大変なんですわ・・・」
と少し照れくさそうに答えている。
と少し照れくさそうに答えている。
そして、「私も85歳になりましてね・・・ 」
と、ゆっくり身の上話を語っている。
と、ゆっくり身の上話を語っている。
そんな男性に向き合う女性は、
「そうですか~。そうですか~」と
男性を急かす事なく、耳を傾けている。
その間、別の薬剤師がソファーで待つ私の所にやってきた。
「すみません、お待たせしてしまって。
カウンターが埋まっているものですから。
こちらで、お薬をお渡しさせていただきますね」
こちらで、お薬をお渡しさせていただきますね」
なんて気の利く薬局なのだろう。
誰もが、静かに優しい。
日本に帰省する前、シエナの骨董市で食器を売っていたイタリア人男性の言葉を思い出した。
「昔、日本に旅行して日本が気に入りましたよ。
見どころとか、食べ物とか、
それだけじゃないんですよね。
何というか・・・日本人の在り方、
日本人に触れることに感動してしまうんですよ・・・」
見どころとか、食べ物とか、
それだけじゃないんですよね。
何というか・・・日本人の在り方、
日本人に触れることに感動してしまうんですよ・・・」
ふと思う。
もし、全ての窓口が機械化されちゃったら、
人の声や、ちょっとしたエピソードに触れることもできなくなるな~、と。
人の声や、ちょっとしたエピソードに触れることもできなくなるな~、と。
薬局で待つ間、
高齢者が財布から小銭を取り出そうとしている時の、
チャラチャラと鳴る音に、
心地よさを感じた今日この頃です。
| 固定リンク
