留学生とワイン
今月に入り、シエナ外国人大学に、沢山の日本人留学生がやってきた。
彼らの滞在は1か月。
好奇心が旺盛な彼女たちから、
「ワイナリーに連れていってください!」
とのリクエストをもらった。
「了解! 実現させましょう。
でもね・・・
ワイナリーに行って、ワイナリーの人が話すイタリア語を通訳するけど、
私の日本語を聞いても、皆、ぴんとこないかもしれないね。
だから、ワイナリーに行く前に少し、ワインについて勉強しましょう!」
「は~い!」
という事で始まったワインのお話会。
「はい、このラベルを見てください。
2022って書いてある。
この2022って、何を意味するのか分かる?」
すると、彼女たちは少し考えこみ、
「ん~、葡萄が樽に入った年ですか?」
「ワインが販売される年ですか?」
と各々口にした。
「これはね、葡萄を収穫した年なの。
葡萄がワインに姿を変え、ワインが市場に誕生した年ではなくて、
葡萄の房が生まれた年なのよ!」
「あ~、なるほど!」
続いて、高級レストランに行った時を想定し、ソムリエと交わすホスティングの仕方も
実践してみた。
「注がれたワインを確認をした時、
自分が想像していた味とは違うからといって、
”これ、ちょっと違います。変えてください”って言わないでね!」
「え~、ダメなんですか?」
「自分の好みと違っているから、という理由では
交換できませ~ん!
コルクが劣化して、嫌な臭いがワインについているとか、
問題が起きた時だけです」
「質問!一本のワインしか注文できないんですか?
いくつかのワインを注文するとか、ダメなんですか?」
「そうね。ワインリストにいくつものグラスワインある場合は、
各々が好きなワインを注文できるけど、
高級レストランの場合は、1本のボトルワインを皆で楽しむって感じだね」
ワインの世界に踏み込んだばかりの留学生女子。
彼女たちは、私の話を興味深く聞いてくれるが、
私も、ある意味、彼女たちから飛んでくる質問の内容を楽しんでいる。
明日の午後は、何を説明しようかな?
まだ、決めていない。
折角シエナにいるのだから、先住民のエトルリア人が、
どのようにワインを用いていたか?そんな文化にも触れてみたいし、
日本酒とワインを、歴史の背景を絡めながら比較するのも楽しそう。
ワイナリーに行く事を想定し、醸造の説明もし始めないと・・・
限られた時間だけど、彼女たちがワインに興味を持ち始め、
各々が、色々なテーマからワインを深堀してくれるようになると、嬉しいな。
それは、作り手さんが自然環境と向き合う難しさだったり、
ワインが出来た時の感動だったり、また、歴史や神話、儀式、宗教だったり・・・
グラスから漂うワインの表現は、沢山あったほうが楽しい!
| 固定リンク