2024.11.20 今日、一部の箱を発送します
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「KIYOMI、あと15分で通過するからね。
口笛吹くから!」
「了解~! 合図が聞こえるよう、
耳を澄ましておくね!」
私の家の近くには幹線道路が大きく走っていて、
その道をマッシモが通り抜けるとき、
こうして知らせてくれたりする。
ほんの一瞬、彼が私の近くを過ぎ去るだけ。
それでもその一瞬、
挨拶テレパシーを飛ばし合っているようで、
なんだかワクワクした気分になる。
「15分後か・・・(うん、間に合うな!)」
パジャマのような部屋着を着ていたけど、
ダウンコートで全身を覆い、
急いで家を飛び出した。
いつもは、幹線道路の上の架道橋を歩くけど、
今日は、ちょっと勇気を出して、
幹線道路の入口まで降り、
ビュンビュンと高速で流れる車たちの近くに立ってみた。
時々「こんな所で何をしているのか?」
とでも言わんばかりの視線が、車の中から私に向けられる。
次々と駆け抜ける車の中から、
彼の車を見つける事が出来るかな?
そして、目の前を流れる黒い車に
「これだ!」と直感が閃いた。
目の前を彼の車が風のように通り抜け、
私は反射的にその後ろ姿を目で追った。
昼過ぎ、再びマッシモから電話がかかってきた。
「今、ローマに着いたんだ。
今日の事、一生忘れない・・・
遠くにぽつんと立っているKIYOMIが見えて・・・
少しクレイジーだった!」
マッシモを驚かせることに成功して
「やった~」って感じだったけど、
あえて軽く「そぉ?」と返した。
「一生忘れない」とか
「一生、忘れません!」とか言われると、実に嬉しい!
昔はよく、ちょっとしたイタズラやサプライズに時間を費やしてたけど、いつのまにか、そういう遊び心はどこかに置き去りにしてしまっていた気がする。
今の私は、常に何かやる事に追われていて、
自分の事で精一杯だ。
忙しさが軸にあると、心の中に軽い怒りが影のようにつきまとい、怒りっぽくもある。
遊び心を忘れない大人でいたい。
それにしても・・・
今日の作戦にはお金がかからなくて、
これもまた大満足!
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どうしても我慢できずに・・・・
というよりも、我慢という感覚を通り越し、
何も考えずにす~っとワイン棚に足が向いた。
仕入れ価格が一番安かったワインが
ちょうど1本だけ残っていたので、
これを手にして部屋に戻り、
抜栓してグラスに注いだ。
ふわっと立ちのぼる香りに
「あ、これ、お客様用にすればよかったな」と少し後悔。
お手頃ワインで「こんなに美味しいんだ」と驚かれる瞬間が、私にはちょっとした喜びなのだ。
時間の経過と共に、柔らかさと品格を帯び、
何とも飲み心地のよい美味しいワインへと姿を変えていた。
今、お客様からのご注文を整理中。
日本の税関の規制で、
《1箱10ℓまで》という制限があるのだが、
ほんの少し超えたご希望がいくつかある。
クロネコヤマト10kgで送ってください、
とのご希望があるが、
10kgで収まらないリクエストもいくつかある。
選んでくれた背景にはそれなりの理由があるのだろうし、
できればご希望にお応えたいが、
調整する必要がある。
11月までに受け取りたい方もいるが、
肝心のオリーブオイルがまだ届かない。
生産者に連絡を入れても返事はないが、
なるべく、仕事に追われる相手の身になって、
柔らかく、メッセージを再送信してみる。
一番大切なのは、お客様に喜んでいただけること。
できるだけ、1件1件のご注文に、丁寧に取り組みたいと思うほど、どうしても返信に時間がかかってしまう。
「返信が来ないな?」
とお客様に不安を感じさせてしまう方が迷惑であって、丁寧に返信をしている場合じゃないのかな?
急かされる気持ちを抑えたくなり、
ワインに手を出した。
少しずつ赤ワインが体に回り、
思考のリズムがアンダンテになってきた。
そうだ、音楽でもかけよう!
ノスタルジックな気分に浸れるような・・・
昔、お父さんが良く聴いていた映画音楽なんて、
いいかもしれない。
うん。いい感じになってきた。
少し休んでから、また、メールに向き合います。
ご注文をくださった皆様、
お問い合わせをくださった皆様、
返信が遅れており、大変申し訳ございません。
今まで、頑張ろうとしてきましたが、
皆様にお願いさせてください。
出来るだけ、皆様一人ひとりの思いに寄り添いながら、準備を進めてまいります。
お時間のご容赦をくださいますよう、
皆様からのご協力を、
どうぞ宜しくお願いいたします。
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シエナ郊外の森の中にひっそりと佇む
モンテ・オリヴェート・マッジョーレ修道院。
ここの回廊には
『聖ベネディクトの生涯』を描いたフレスコ画がある。
もともとこの壁画制作は、
当時56歳のルカ・シニョレッリが受け持っていたが、
一年ほど手を入れたところで、大きな仕事の声がかかり、途中で降板することになった。
9面を描きあげた後、残りの27面は、
28歳のソドマに引き継がれた。
どの絵も、聖ベネディクトの物語を描いているのだけれど、画家が違うと絵の趣も変わって面白い!
ソドマの手掛けた壁画には、
犬や鶏、猫、カラス、白鳥、ロバ、アナグマ、子猿等など・・・
沢山の動物たちが登場していて、
皆、どこか可愛げがある。
実際、ソドマは動物が大好きで、
沢山の動物たちと暮らしていたとのこと。
聖人の奇跡と神をテーマにした厳粛な物語の中にも、
動物愛が垣間見えるソドマのフレスコ画から、
ふと柔らかい空気が感じられたひと時でした。
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シエナでは、新しい建物や集合住宅地、
大型スーパーマーケットは、
旧市街から外れた郊外に建てられる。
そんな郊外住宅地にも自然が点々と散らばり
緑が思いがけない形で顔を出している。
一見、野原のように見える駐車場。
よく見ると地面を覆っているコンクリートは、
まるでレンガのように小さなブロックに分けられ、その隙間から草が顔を出している。
このような駐車場を「Green Pav」というらしい。
小さな隙間たちは、雨が降ると、
その地面がまるでスポンジのように水を吸い込んでくれる仕組みだ。
そこに生える草はスペースが狭いため、
ボーボーに伸びる事はない。
もし、一面にコンクリートが張りめぐされていたら
雨水は一気に側溝へと流れ込むが、
そこが、長年メンテナンスがされないまま放置されていたら、側溝の入口に溜まった落ち葉や土砂で雨水を飲み込むことができず、道路は水浸しになりかねない。
その点、この緑の駐車場なら安心だ。
土が呼吸し、
雨が地面に帰る道をつくってくれている。
気候が不安定になり、
いつどこで豪雨が降ってもおかしくない現代において、これは未来のための、静かだけれど確かな意識の現れ。
今朝、マッシモにその説明を聞くまでは、
草の生える駐車場に意識を向けた事はなかった。
この仕掛けには、
ちょっとだけコストが高いらしいが、
毎日の風景の中にある、気づかぬ工夫やささやかな心遣いにに触れ、「偉いな~、シエナ」と感心した今日この頃です!
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