【シエナのパリオ 1】
シエナは小さな街ながら、
17の地区(コントラーダ)に分割されている。
各コントラーダには集会所があり、
食事会やイベントが行われる他、
普段の日も、子供からお年寄りまで、
集会所にやってきては、仲間とお喋りをして過ごす。
会社は給料の代価と引き換えに過ごす場所であり、
退社をすると個人の生活に戻っていく。
学校も、学問の学びの場として過ごし、
授業を終えると家に戻っていく。
では、コントラーダに集まる理由とは何だろう?
それは、簡単に言ってしまうと
「自分の居場所を感じるから」だと思う。
仕事や勉強が出来る出来ない、
経済的背景による生活スタイルの違いなど、
持っている能力や資産によって、
ある種のソサエティに自分の居場所と任務を感じる人がいる。
しかし、社会にはそれ以外の人たち、
育児中のママさんや定年退職をした男性、
学校に通わない若者など沢山の人がいて、
彼らも、社会に生きている。
幼児はコントラーダの教会で洗礼を受け、
子供になると何かしらの小さな役割が与えらる。
その役割を通じて、認められる、褒められる、
といった感覚を覚え、翌年、
彼らは年下の子供たちを指導をする事で、
お兄さん、お姉さんとしての自覚も芽生え、
同時に、知識と経験を持つ年長者への敬意を感じるようになる。
人間の体の中で、心臓が一番大事であって、
それに比べると足の親指や前歯は重要ではなく、
無くてもいい、というわけにはいかないように、
コントラーダも一つの体のような機関としてあり、
様々な人がそこにある。
「個」が集まって組織化されるコントラーダ。
そんなコントラーダが一丸となった誇りは一頭の馬に託され、
7月2日、カンポ広場で他のコントラーダと競う事になる。
6月29日の昼過ぎ、カンポ広場にて、
各コントラーダに当てが割れる馬の抽選会が行われました。
強い馬に当ったコントラーダの、
子供からお年寄りまで歓喜の渦にある様子、
そして、各コントラーダでの食事会の準備では、
青年がテーブルのセッティングを担当している写真をアップします!
伝統行事シエナのパリオについて、
私の視点から、自由な感想を述べさせていただきますが、
読み手の皆様とは違った考えも含め、
投稿を通じて〈伝統イベント〉〈地域〉など、
皆様の日常に、いつもとは違った思考や話題が生まれるきっかけとなってくれましたら幸いです。
次回は、7月2日に優勝した地区が優勝旗をもって向かう先、
プロヴェンツァーノ教会について、投稿したく思います(続く)!
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