【シエナのフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》その4】
シエナの市庁舎の「平和の間」には、
壁3面にかけてフレスコ画が描かれています。
この3枚をまとめて、
《善政と悪政の寓意と効果》と呼びますが、
一番有名なのは、田園から都市にかけて、
人々が穏やかに生活を営む様子が描かれている
《良き政府の効果》と呼ばれる壁面の作品です。
今日も《良き政府の効果》から。
馬に乗った赤い服の女性に注目してみましょう。
当時、女性は結婚する際に赤い服を着ていたため、
結婚式の女性、という説があります。
また、女性の頭上に冠がある事から、
この女性は王女で、後ろの馬に乗った男性は家来だ、
という説もあり、
女王を眺める二人の女性はお辞儀をすることなく、
微笑みながら女王を眺め、
後ろの男性達も平穏な様子で、
まるでお喋りをしているかのようだ、と言う解説もあります。
1338年~1339年、
アンブロージョ・ロレンツェッティによって描かれたフレスコ画。
この時代、女性が穏やかな表情で馬に乗って街を通る、
というシチュエーションは、確かに、
良き政府の長閑な世界観を表わしていますね。
さて、これまで《良き政府の効果》の作品に描かれているディテールをご紹介してきましたが、次回は《悪しき政府》の方にも目をむけてみたく思います。
追伸:
シエナの市庁舎にあるフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》は、約1年半前から修復作業に入っており、見学する事が出来ません。
近い将来、
皆様がシエナにいらした時には、ご覧いただけますように。
その日が訪れますまで、この場を借りて、
フレスコ画の世界を散策いたしましょう!
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