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2023年8月

2023年8月31日 (木)

2023年 葡萄の収穫が近づいてきました

フィレンツェの街中から南西に約15km

ビオワインを手掛ける作り手の畑で、
収穫を間近に控えた葡萄たちを見た。

直接日光にさらされないよう、
葉で覆われた葡萄を見ると、
殆どの房に、傷んでしまっている粒が見られる。

今年は、春から初夏にかけて雨が続き、
トスカーナの作り手はカビによる病気
「ベト病」の対策を何度も強いられた。

ベト病に感染した葉には黄色い染みが出来
光合成が上手く出来ないので、
葡萄の木に栄養が行き届かない。

この畑に限らず、トスカーナ広域にかけて、
今年は、傷んだ粒を含む葡萄が多くなっていて、
房ごと干からびてしまっている姿も見られる。

ひと昔前までは、この時期、
あちらこちらの畑で健康的な房を見る事が出来、
その光景を当たり前だと感じていた。

見事に育った葡萄を、
どういうテイストに仕上げていくのか?

収穫後、エノロゴのセンスと手腕が注目されていたが、気が付くと、ここ数年は「いかに異常気象から葡萄を守るか?」という話題にスポットがあたっている。

2023年は収穫量が非常に少ない年となる。

コップの水理論に例えると、

「半分しかない」と捉えるか?

それとも「まだ、半分もある」と捉えるか?

今の畑の光景だけを見ると
「半分しかない」と言いたくなるが、

春の長雨、40度近い猛暑、豪雨と湿気等など・・・・

2023年に訪れた様々な異常な気象を振り返ると、

「今日まで生き延びてくれた葡萄が、半分もあるんだね!」と褒めてあげたくもなる。

まもなく収穫が始まり、
農夫たちは腰をかがめ、使えそうな葡萄を見極めながらハサミを入れていく。

その後、傷んだ粒を取り除くという細かな作業を経て、除梗機(茎からブドウを外す機械)に房を移し、
醸造が始まる。

不安定で難しい年に育った葡萄の成分を上手く抽出し、バランスよく仕上げる工程を経て・・・

 
出来るだけ美味しいワインの完成に向けたそのゴールまで、自然と農夫のリレーはまだまだ続きます。

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2023年8月25日 (金)

【シエナのフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》その4】

シエナの市庁舎の「平和の間」には、
壁3面にかけてフレスコ画が描かれています。

この3枚をまとめて、
《善政と悪政の寓意と効果》と呼びますが、
一番有名なのは、田園から都市にかけて、
人々が穏やかに生活を営む様子が描かれている
《良き政府の効果》と呼ばれる壁面の作品です。

今日も《良き政府の効果》から。

馬に乗った赤い服の女性に注目してみましょう。

当時、女性は結婚する際に赤い服を着ていたため、
結婚式の女性、という説があります。

また、女性の頭上に冠がある事から、
この女性は王女で、後ろの馬に乗った男性は家来だ、
という説もあり、
女王を眺める二人の女性はお辞儀をすることなく、
微笑みながら女王を眺め、
後ろの男性達も平穏な様子で、
まるでお喋りをしているかのようだ、と言う解説もあります。

1338年~1339年、
アンブロージョ・ロレンツェッティによって描かれたフレスコ画。

この時代、女性が穏やかな表情で馬に乗って街を通る、
というシチュエーションは、確かに、
良き政府の長閑な世界観を表わしていますね。

さて、これまで《良き政府の効果》の作品に描かれているディテールをご紹介してきましたが、次回は《悪しき政府》の方にも目をむけてみたく思います。

追伸:
シエナの市庁舎にあるフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》は、約1年半前から修復作業に入っており、見学する事が出来ません。

近い将来、
皆様がシエナにいらした時には、ご覧いただけますように。

その日が訪れますまで、この場を借りて、
フレスコ画の世界を散策いたしましょう!
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2023年8月22日 (火)

美しい湖「パッシニャーノ・スル・トラジメーノ」

シエナから車で約1時間半。

お隣、ウンブリア州のペルージャ県にある湖
「パッシニャーノ・スル・トラジメーノ」 に行ってきました。

夏も終わりに近づき、
哀愁が漂い始めるこの季節、

宝石色に輝くさざ波に癒されます。

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2023年8月21日 (月)

南トスカーナ「スカンサーノ」地区より、8月20日現在、オリーブと葡萄の様子をお届けです

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猫ちゃんに癒されるひと時

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スカンサーノのワイン博物館から、ビデオライブです!

 

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南トスカーナ「スカンサーノ」のワイン

南トスカーナグのロッセート県に、
スカンサーノという町がある。

遠くにティレニア海を見下ろせるこの街は、
「モレッリーノ・ディ・スカンサーノ」というワインの産地で、いくら車を走行しても、葡萄畑が尽きない。

トスカーナのワインと言えば、
ブルネッロやキャンティクラッシコが有名で、
モレッリーノ・ディ・スカンサーノは
あまり知られていないけれど、
実は、この土地のワインの歴史は非常に深く、
紀元前6世紀の後半~紀元前4世紀頃に使われていたとされる大きな陶器のかめから葡萄の種が発見されている。

また、紀元前3世紀頃、
子孫繁栄や土地の発展を願い、
神様に捧げられた供え物の中から、
葡萄の収穫の農具を手にしたブロンズ像が見つかっている。

2023年8月20日現在、
この土地の葡萄を観察してみると・・・

春の天候不順で葉にダメージを受けていたものの、葡萄は頑張って育っていた!

ゲニウス・ロキという言葉がある。

ローマ神話における土地の守護精霊から発生した言葉で、現在では、土地の雰囲気や土地柄を表わす言葉として使用される。

農夫の努力に加え、葡萄の栽培責任者や
醸造家の知恵と技術も関係しているけど、
大昔からこの土地で葡萄作りが繰り返されてきた
土地のポテンシャル、
ゲニウス・ロキをも感じる今日この頃です!
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2023年8月20日 (日)

【シエナのフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》その3】

今日は、このフレスコ画に描かれている豚に触れてみましょう。

これは、古代からシエナに生息する珍しい品種の豚で、Cinta Senese(チンタセネーゼ)といいます。

イタリア語でベルトはcintura(チントゥーラ)
Senese(セネーゼ)とはシエナの、という意味。

ベルトをしているような姿から、この名前がつけられました。

数年前まで絶滅の危機に瀕していましたが、
ブリーダーと協会のお陰で、販売に至るまでに数が増え今ではDOP(原産地名称保護制度)に認定されていています。

これは、ヨーロッパでは大変、稀なケースです。

通常、肥育ホルモン剤などを使用し、
品種改良を重ねて成長速度を速め、
流通に都合よく量産・繁殖させますが、
チンタセネーゼに関しては、厳しいDOPのルールが敷かれ、質が保証されています。

DOPのルールとは

・トスカーナ州で育つこと
・広い野原で、半野生の状態で飼育されること
・トスカーナで育つ草、豆類を食べること 

等など・・・

チンタセネーゼには、アルゼンチンやブラジルなど、
外国、または、トスカーナ以外の州から入る餌は与えられません。

化学肥料が使用されていたり、
この土地に本来育たない植物を与える事は禁止されています。

昔から品種改良されていないお陰で、
他の豚に比べると成長がゆっくりで、脂肪が多く、
不飽和脂肪酸、特にオメガ3とオメガ6が豊富に含まれています。

食肉の運命を迎える彼らですが、
せめて、生きている間は、広々とした自然環境の中、敵に襲われることもなく、美味しい食事を与えられながら長閑に暮らす姿に癒される今日この頃です。

追伸:

シエナの市庁舎にあるフレスコ画「善政と悪政の寓意と効果」(アンブロージョ・ロレンツェッティが1338年~1339年)は、約1年半前から修復作業に入っており、見学する事が出来ません。

近い将来、皆様がシエナにいらした時には、
ご覧いただけますように・・・

その日が訪れますまで、この場を借りて、
フレスコ画の世界を散策いたしましょう。

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2023年8月19日 (土)

シエナ人のファッションセンス

シエナ人のファッションを見ていると楽しい!

靴、ベルト、カバン、眼鏡、アクセサリー等にも拘りが感じられ、ヒールサンダルを履き、
背筋を伸ばして歩くマダムもカッコいい!

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2023年8月18日 (金)

シエナのパリオ祭 2023年8月

中世の街、シエナ。

シエナの城壁内には中世の建物がそのままの姿で残り、そこで人々は生活をしているが、
中世から引き継がれているのは建物だけではない。

社会組織や個々に宿る心理までもが中世から引き継がれている。

この生きた中世の心理的な描写を、
私たち外国人はパリオの日にはっきりと見る事が出来る。

シエナの街は、17のコントラーダ(地区)に分かれている。

それぞれのコントラーダは小さな社会組織を持ち、
常に食事会や儀式など常に行われ、
同じコントラーダに生きる人々の連携が強まっていく。

パリオとは、コントラーダ対抗の馬の競技。

2023年8月のパリオでは、
Oca(ガチョウ)地区が優勝した。

優勝に歓喜するOcaの様子をビデオにしました。

映像を通じて、コントラーダの結束、
そして小さな子供からお年寄りまで、シエナ人がコントラーダに帰属して人生を送る様子を感じていただけたら幸いです。


レースの様子をSIENA TVより引用します

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2023年8月15日 (火)

【シエナ】8月のパリオ祭が近づいてきました

カンポ広場とシエナ人のエモーション上昇中!

興奮が高まる街の様子を動画にしました。

是非、シエナの鼓動を感じてください!

 

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8月16日のパリオ祭が近づき、シエナの街が高揚してきた!

シエナは小さな街だが、
17の地区(コントラーダ)に分けられている。

コントラーダとセネーゼには独特な絆があり、
幼児たちはコントラーダで洗礼を受け、
16歳を迎えるとコントラーダで成人式が行われ、
物心つく前からコントラーダとの関係が築かれていく。

コントラーダでは年に何度も食事会やイベントが行われ、
子供は机や椅子を並べたり、料理を運んだりと
何かしらの役目を担う。

パリオ祭に向け、
コントラーダが一丸となって雄叫びをあげ、
歓喜し、時に落胆の涙を共にしながら過ごしていくうちに、
各自に「自分はこのコントラーダの一員だ」という自覚が深まり、コントラーダの結束は固くなっていく。

パリオ祭は、そんなコントラーダの地区対抗競馬で、
コントラーダの士気が託された馬がカンポ広場を走行する。

お祭りでありながら、露店が並ぶこともなければ、
観光客誘致の為のサービスが商品化される事もない。

パリオ祭は娯楽的なイベントではなく、
「パリオ祭とは何なのか?」と尋ねられると、

「コントラーダに属するシエナ人の為の・・・」

いまいち、上手く説明をすることが出来ない。

シエナに暮らして20年以上になりますが、
パリオが近づく度、シエナ人のむき出しとなったアイデンティティに圧倒されてしまう今日この頃です。

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2023年8月14日 (月)

【シエナ~善政と悪政の寓意と効果 その2】

今日は、農村地帯に注目してみましょう。

葡萄畑やオリーブ畑がポツリポツリと見える他、
麦畑で働く農夫の姿が、あちらこちらに見られます。

夏の時期に耕作する農夫たち。
秋口に種をまく農夫たち。
翌年の初夏に刈り取りをする農夫たち。
そして刈り取った麦を脱穀する農夫たち。

1年の中で、別々の月に行われる農作業が
1枚の絵に描かれています。

動物の背に農作物を乗せ、
田園から都市へと移動する農夫が見られ、
都市と農村の繋がりが見られますね。

仕事をする人も、旅人も、治安の良い政府の元で、
穏やかに生活を営む様子が描かれています。

今日はこの辺で・・・・

また次回、アンブロージョ・ロレンツェッティが
1338年ー1339年に描いたシエナを散策いたしましょう!

追伸:
シエナの市庁舎にあるフレスコ画《善政と悪政の寓意と効果》は、約1年半前から修復作業に入っており、見学する事が出来ません。

近い将来、皆様がシエナにいらした時には、
ご覧いただけますように・・・

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2023年8月13日 (日)

シエナ~善政と悪政の寓意と効果 その1

シエナの市庁舎にあるフレスコ画
《善政と悪政の寓意と効果》をご一緒に堪能しましょう!

あまりにも深いメッセージと様々な情景が描かれている為
細部を取り上げながら少しずつご紹介していきたく思います。

今日は、街中の3コマを取り上げてみました。

街中には、職人、商人、大工、先生、農夫等など、
街の発展の為に働く人々の様子が描かれている他、
タンバリンに合わせて踊る女性たちも描かれています。

これは、お金や経済活動といった場以外にも、
音楽やダンスを楽しむ庶民の心に、
平安と豊かさがある事を意味し、
また、若い女性が手を繋いで踊る姿は、
庶民の調和を表わしています。

靴職人が働く右側には、
学業を教えている様子が描かれています。

経済と文化という2つの要素は、
善政の街の構築に欠かせません。

また、大工たちが高い塔の上で作業をしている様子から
街が発展し続けているダイナミズムが伺えます。

今日はこの辺で・・・

次回は、どのシーンを取り上げましょう?

1338年~1339年に、アンブロージョ・ロレンツェッティによって描かれたフレスコ画の散策を、またご一緒いたしましょう!
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2023年8月10日 (木)

シエナの考古学博物館にあるMuse Chigi

シエナのSanta Maria della Scala博物館の地下に
「Muse Chigi」と名のついた石彫作品がひっそりとある。

人間がいない時、石に描かれた人物たちの声が
小さく響いてそうな、不思議な作品だ。

紀元前4世紀のギリシャのスタイルを参考に、ハドリアヌス皇帝(76年~138年)~
アントニウス・ピウス皇帝(138-161年)に作られたと推測されるこの石棺には、13人の登場人物が描かれている。

左側に、動物の毛皮に腰掛けている女性。
その背後で二人の女性がお喋りをしている。

中央で椅子に腰掛けている女性は、サッフォー。
ハープを抱えながら、本を読んでいるのかな?

サッフォーの背後で琴を奏でる男性はオルフェオ。
そして、サッフォーの正面に立つ男性は、
エルメスと言われている。

誰がこの作品を作ったのか?

その人を知る事はないけれど、
固い石から、音楽、詩、お喋りを楽しむ楽園のような柔らかい空気が漂ってきます・・・

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2023年8月 6日 (日)

日曜日は、ずうちゃんのお喋りを楽しみましょう!

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コルトーナの街でエトルリアの美を鑑賞

沢山のギャラリーが並ぶコルトーナの街。
細い路地にまで作品が展示されていて、
町全体がギャラリーのようだ。

街の麓には、先住民であるエトルリア人の墓があり、
そこから発掘された品々が、
街中の博物館に展示されている。

紀元前5世紀に使用されていた品々の形は非常に整っていて、美しい絵模様から、彼らの美への拘りが感じられる。

トスカーナに佇む美しさ、
そして、トスカーナ人の生活スタイルについて、
エトルリア時代からのゲニウス・ロキを感じる今日この頃です。
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2023年8月 4日 (金)

2023.8.3 動画日記

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