2023年 葡萄の収穫が近づいてきました
フィレンツェの街中から南西に約15km
ビオワインを手掛ける作り手の畑で、
収穫を間近に控えた葡萄たちを見た。
直接日光にさらされないよう、
葉で覆われた葡萄を見ると、
殆どの房に、傷んでしまっている粒が見られる。
今年は、春から初夏にかけて雨が続き、
トスカーナの作り手はカビによる病気
「ベト病」の対策を何度も強いられた。
ベト病に感染した葉には黄色い染みが出来
光合成が上手く出来ないので、
葡萄の木に栄養が行き届かない。
この畑に限らず、トスカーナ広域にかけて、
今年は、傷んだ粒を含む葡萄が多くなっていて、
房ごと干からびてしまっている姿も見られる。
ひと昔前までは、この時期、
あちらこちらの畑で健康的な房を見る事が出来、
その光景を当たり前だと感じていた。
見事に育った葡萄を、
どういうテイストに仕上げていくのか?
収穫後、エノロゴのセンスと手腕が注目されていたが、気が付くと、ここ数年は「いかに異常気象から葡萄を守るか?」という話題にスポットがあたっている。
2023年は収穫量が非常に少ない年となる。
コップの水理論に例えると、
「半分しかない」と捉えるか?
それとも「まだ、半分もある」と捉えるか?
今の畑の光景だけを見ると
「半分しかない」と言いたくなるが、
春の長雨、40度近い猛暑、豪雨と湿気等など・・・・
2023年に訪れた様々な異常な気象を振り返ると、
「今日まで生き延びてくれた葡萄が、半分もあるんだね!」と褒めてあげたくもなる。
まもなく収穫が始まり、
農夫たちは腰をかがめ、使えそうな葡萄を見極めながらハサミを入れていく。
その後、傷んだ粒を取り除くという細かな作業を経て、除梗機(茎からブドウを外す機械)に房を移し、
醸造が始まる。
不安定で難しい年に育った葡萄の成分を上手く抽出し、バランスよく仕上げる工程を経て・・・
出来るだけ美味しいワインの完成に向けたそのゴールまで、自然と農夫のリレーはまだまだ続きます。
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