行きつけの店
小腹がすくと、
サンマルティーノ通りにある切り売りピザの店に立ち寄る。
オーナーのファビオの他に、3人くらいのスタッフがいて、
その中でも、まるで肉屋のような体格をした男が面白い。
「ん~、またこのピザを食べたいけど・・・
チーズがたっぷりと乗ったこれを食べ続けると、
コレステロールがあがっちゃうんでしょうね~?」
「お前さん、今、体の調子が悪いのかい?」
「いいえ、体調いいわよ!」
「だったら、何が問題なんだい?」
そう言って、チーズの乗ったピザを釜に入れて温めた。
私は、彼の対応にスッキリした。
「ねえ、ここで働いてるから、毎日、ピザを食べてるんでしょ?」
「俺は食べないよ。ピザ、嫌いなんだ。
34年間、ここで働き続けてるけど、ピザは食べない」
「え~! じゃ、何食べるの?」
「パスタや肉。でも、ピザは食べない」
イタリアに来て20年。ピザが嫌いという人に初めて会った。
しかも、私のお気に入りのピザの店で・・・
ここのピザは美味しい。
生地の触感、塩加減、ボリュームある具材、
そしてここで働くスタッフの飾らない対応。
シンプルだけど、活気を感じる。
私は、スマホでお店を選ぶのが好きではない。
「ピザ選手権で優勝した店」
「テレビで紹介されていた老舗の店」
「拘りの素材の説明にしつこい店」等々・・・
いつの頃からか?
人は情報を味わっているような気がする。
私は情報よりも、味気あるものを気楽に美味しく食べたい。
だから、サンマルティーノに通い続けます!
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