一杯分の優雅な時間
キジャーナ音楽院の中庭にあるカフェでは、
毎日、19時から学生によるミニ演奏が行われる。
この日は、三人の青年がベートーベンを披露した。
奏者が登場すると、パトリッツィオが耳元で囁いた。
「キヨミ、写真撮って!
後で、シルビアに見せてあげたいんだ」
「了解!」
演奏が終わると、パトリッツィオは夢気分。
「俺、性別を変えたいって思った!
あの青年に恋した!」
青年の写真をパトリッツィオの携帯に送信し、
それを、娘のシルビアちゃんに見せると、
「パパには若すぎるわよ!」という返事が戻ってきた。
弦の動きと共に、ウェーブした髪が柔らかく揺れ、
鼻筋の通った甘いマスクは、曲の情緒に合わせて、
明るさを放ったり憂いを帯びたりしている。
優雅なアペリティフを満喫しました♪
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