小さなチーズの作り手を訪れて感じた事
友達のモニカに誘われ、
シエナの郊外にあるチーズの作り手を訪れた。
神様と鷹しか愛でる事の出来ないようなトスカーナの美しい大地を眼下に丘を登っていくと、馬やヤギ達の長閑な群れがあり、その小径の奥には、チーズの作り手、マリアの家があった。
マリアはやせ型の背の高い女性で、
白髪を無造作に束ねていた。
そして、何処となく影と焦燥感を漂わせていた。
色々な事がやり掛けのように散らかった台所で、
彼女はパン作りの為の小麦をこねながら話を始めた。
彼女の語る「勇気がないと先に進めない」という話の内容は、先ほど見たトスカーナの光景とは相反していた。
彼女の話を聞いている時、正直言って
「ネガティブな事を口にする人だな・・・」と思ったけど、
彼女の作るチーズを味わって私の視点がガラッと変わった。
これ以上 恵まれた環境で健全に育つヤギはいない。
その乳を使って手作業で作られた美味しいチーズ。
マリアだけではなく、
正直農家が経営難に直面しているとは、
一体、どういう事なんだろう?
数日前、友達と食事をした時、
アフリカで事業を展開する中国人や、
トランプ政権と北朝鮮、そして、人類のルーツ、
昔のソビエト連邦の話題があがり、
私の知識不足でついていけない部分が多く、
「私も世界情勢を勉強しなくては・・」と心底思った。
でも、世界情報を知るより、
身近にある問題に触れ、そこに問題意識を感じつつ、
微力でもいいから参加できる方がいいかな?とも感じた。
無償にファブリッツィオ デ アンドレの
「Via del campo」を聴きたくなった。
歌詞の中に
「ダイアモンドからは何も生まれないが、堆肥からは花が咲く」という節がある。
マリアが手掛けたチーズをつまみに、
ワインを飲みながら私の気持ちを録音してみました。
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