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2018年3月14日 (水)

日本帰省 地元で女一人飲み その3

今回の日本帰省では、お酒を良く飲んだ。

都内で誰かと飲んだ日は、
終電間際の電車で実家の駅に到着し、
それから一人飲みをして家路に着いた。

飲み会では
「帰りの電車で気分が悪くなったらどうしよう?」
という不安が付きまとうので酒の量が控えめになる。

だから、実家の駅の到着すると、
締めのお酒を飲みたくて、ふら~っと立ち寄る事になる。

この日も0時過ぎ。

チェーン展開している居酒屋に入ってみた。

「すみません、まだ、やってますか?」

「はい。2時までやってます」

おじちゃん店長の笑顔に導かれ、カウンター席に着いた。

店内には男性グループ客の、酒で勢いを増した声が高々と響いていたけど、長い髪を結わいたアルバイトらしき女性から御絞りを受取ったら、すっかり気持ちが落ち着いた。

「熱燗ください。つまみは刺身の7点盛にしようかな?」

すると彼女はマニュアル通りに、
「すみません。こちらのメニューは2名様からなんです」
と申し訳なさそうに答えた。

 「分かりました。そしたら~、
 一人前でも頼めるお刺身って、どれですか?」

とメニューを開いて尋ねると、
カウンター向かいの厨房から女性が顔をのぞかせた。

「大丈夫ですよ。7点盛り。一人前でお受けしますよ!」

厨房の女性は私と同い年くらいで、
深夜だというのに、これまでの疲れを微塵にも見せず、
穏やかな笑顔で優しい言葉をかけてくれた。

おじちゃん店長は私の後ろを通り過ぎる際、
「お酒が好きなんですね~」と笑顔で声をかけてくれる。

店の人は、適度な距離を保ちながら接してくれるけど、
私を気にかけてくれる心の距離はぐっと近くにある。

真夜中だというのに、
刺身と焼き鳥、そして熱燗と冷酒を堪能し、
最後にお茶を頼んだ。

おじちゃん店長は

「どうぞ、ゆっくりと、何杯でも飲んでってください」

と声をかけてくれた。

席を立ち、御会計に向かう前に厨房の女性に、

「1人前で対応してくれて、ありがとうございました」

と言うと、彼女は

「大した事してないです。
 盛り付けの見栄えが悪くなってしまい、すみません」

と柔らかく返事をしてくれた。

おじちゃん店長の

「ありがとうございました。お気をつけて」の声を心で受け止め、心の筋肉が和らいで、気持ちが軽やか。

全ての人に好かれる店、全ての店に好かれる客、
というのはないと思う。

人それぞれが感じる居心地の良さは色々とある。

私の場合、お風呂に浸かるように、心をほぐしたくて 
もう1軒を求めてしまう女一人飲みの店は

優しく迎えられ、居心地が良い事。
緊張がほぐれる事。
そして食事とお酒を、ゆったりと楽しめる事。

お店の人間力にかかってくる。

おじちゃん店長は、少し前に倒れて入院し、
復帰して働き始めた事を後から知った。

だから、足を引きずるようにゆっくりと歩いていたんだ。

相手の立場に立つ事にエネルギーを注ぐ店。

「一生懸命に働くって、美しいな」と感じた今日この頃です。

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