自信
数日前のこと。
アンナとの電話を切るとすぐパトリッツィオに電話をした。
彼女から聞いた面白話を彼にも伝えたかった。
私のテンションは高く、
気持ちが先走るままに喋ってしまった。
「今の会話、通じた?」と尋ねると、
彼は「曖昧だな」と答えた。
私は同じ内容を、今度は文法を意識して喋り直そうとしたけど、前置詞や単語が曖昧で会話に行き詰まってしまった。
パトリッツイオはそんな空気を替えようとして
「それで、アンナはどうしたって?」と明るく聞いてくるが、
私は、意気消沈してしまっている。
「もう辞めた。正確なイタリア語なんて、話せなくていいや。
文法を意識すると、
自己嫌悪で気持ちが落ち込んじゃうよ。
こんな気持ちと触れていると、毎日が暗くなっちゃう。
それよりも、今の感情を楽しむ方を選ぶわ!」
するとパトリッツィオは、こう返してきた。
「それじゃダメだ。
俺はキヨミに慣れているから、言いたい事を汲み取れる。
でも、キヨミは他の人と、
きちんとコミュニケーションをとる必要があるんだ。
だから、イタリア語に向き合わなければダメだ」
この言葉を聞いた途端、
悔しくて情けなくて、泣いてしまった。
私はイタリア語が苦手だ。
留学1年目は、
同じ時期に入学した日本人が上級クラスに進もうが、
私は4回も初級コースを繰り返した。
イタリアで暮らすうち、イタリア語が自然に身に着いてくる、と思っていたが、結局、癖のあるイタリア語が定着してしまっている。
今日、パトリッツィオとの電話で
「ワインと食材」についての話題に触れた。
彼からのアドバイスをうけ、
ワインの成分と食材の相関関係をレーダーチャートで確認しようと思い、10年以上前に使用していたソムリエコースの教科書を手に取った。
分からない単語に引かれた赤字の量に驚いた。
「わ~、この単語、昔は分からなかったんだ~!」
これまで、イタリア語の印刷物に触れ
イタリアに在住する日本人の語学力と比べ、
自分の語学レベルに落込み続けてきたけど、
このページを目にした途端、自分の進歩が感じられて嬉しくなった。
微かな自信をチャージして、
自分のペースで少しずつやっていこう!と思った今日この頃です。
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