幸せを充電できた白ワイン!
夜遅くまで作業が続いた日は、私だったら、家に帰って
シャワーを浴びてベッドにバタンキューするところだが、
レッチ エ ブロッキ農園のサブリーナは
「家でご飯を食べていって!」と誘ってくれた。
彼女の両親はレストランを経営していた事もあり、
チャッチャッと料理を作るのはお手の物。
私は食事を待つ間、
テーブルに置かれた白ワインをグラスに注いだ。
サブリーナは横目でチラッと見て、
「それ、サンジョヴェーゼで作った白」と言った。
サンジョヴェーゼとは、トスカーナを代表する赤品種で、
キャンティクラッシコやブルネロはこの葡萄から作られる。
あえて、色を出す葡萄の皮を使用せず、
果肉だけで仕上げたサンジョベーゼの白。
香をかいだ瞬間の感想は、「エッ?」
ある想定から外れた意外性に直面すると、
感動を味わう前に、「エッ?」と戸惑い
1秒ほど自分が止まってしまう。
私はすぐ、ソファーにいるパトリッツィオにグラスを渡した。
彼はグラスから深く香を吸い込むと
「ア~」と大きく息を吐いた。
それからゆっくりと、私たちはワインの感想を口にした。
砂糖漬けのレモンのような甘味、
よく熟れたパイナップル、洋ナシ・・・
少し寒い時期だからかな? それとも夜だからなのか?
この包容力ある白の深みに安堵する。
「皆、テーブルに着いて~」
サブリーナは大皿のパスタと共に登場。
お皿に盛られたパスタの香りに陶酔。
それから私は「ン~」と唸りながら頬張った。
パトリッツィオは、私の「ン~」を数えるのが楽しみで、
この日は10回の「ン~」を観測。
「サバのラグー。ちょっとヤギのチーズも入れたのよ」
とサブリナが言うと、
「ああ、そう感じた」とパトリッツィオ。
パスタは申し分なく美味しく、そこに、
この白ワインを口中に流し込むと、
「なんて贅沢に浸かっているんだろう!」と、
胃より前に、気持ちが膨らむ。
隣に座る、息子のジョバンニに聞いてみた。
「正直言って、レストランに行っても満足しないでしょ?
家でこんなに美味しいもの食べれたら」
ジョバンニは、「ウン」と頷き、
今日の疲れを相殺するかのようにパスタを口にしている。
農学部で醸造の勉強をしている18歳の彼に
「あなたは、どんなワインを目指したいの?」と尋ねると、
「伝統とモダンの両立したワイン」と即答した。
「それって、どういう事?」と更に尋ねると、
「この白ワインみたいな事だよ。
サンジョヴェーゼはトスカーナの赤葡萄。
でも、固定概念に拘らず、これで白を作ってみる」
私はここ数年、白ワインを北イタリアから取り寄せていたけど、トスカーナ産の白ワイを見つける事が出来て、嬉しくなった!
サブリーナはニューヨークのワイン会で、
赤ワインのキャンティクラッシコを求めるアメリカ人にこの白も提供したところ、もの凄く気に入られた為、在庫が少なかったけど、私を待ってくれていたかのように若干数、倉庫に在庫が残っていた。
息子 ジョバンニの似顔絵が裏ラベルに描かれた
白ワイン「il Sangio’ 2016」
出汁を使用した日本食、青みの魚、エビ等・・・
柔らかく厚みある料理との相性がバッチリ。
1杯のワインと共に、幸せを充電してください🍷
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