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2017年8月21日 (月)

スローライフは知識がいっぱい!

シエナの隣町で行われた小さな食事会の席で、
フィレンツェ近郊でワイン作りを営む夫婦と相席になった。

イタリアでは、大抵相席になった者同士で会話を交わす。

話題はもっぱら今年の農作物についてだ。

「今年は蜂蜜が苦戦しているらしい。
 アカシアなんて僅少だ。ヒマワリを植えた場所では、
 ヒマワリの蜂蜜が採集できていると思うが・・・」

1980年、アジアから渡ってきた小さな蜂がヨーロッパに病気をもたらしてから、ヨーロッパの蜂が病気に侵された事等も、この席で初めて知った。

「ところで、葡萄の育成はどうですか?」

「見事に育っている」

「この水不足と猛暑に於いて、ですか?」

「ああ。土をよく耕したからね。
 耕やしたお陰で、土が適度に湿ってくれているんだ」

これを聞いて、友達のアンジェロはすぐに反応した。

「一般的には、土壌に草を残す事によって、
 水分が保つ、って聞いてるけど?」

「実は、そうじゃないんですよ」

中には、畑仕事に一切タッチしないオーナーもいるが、
彼は、グローブのような大きな手と日に焼けた肌をしている。

そんな彼が述べる事は真実で、
私達の知識がまた一つ増えた。

「やっぱり、その土地に住む人間の経験だな!」

とパトリッツィオが確信を込めて言った。

ここに来る途中、パトリッツィオは車の中で、
こんなエピソードを語ってくれた。

「1900年の初め、ポリネシア島の小山で農業を営む農民は、
 雨水が山頂から低地に流れる際の水路を直線に引いた。
 ある日、ヨーロッパ人が入り、
 小山の農地全体に水が行き渡ように、
 水路をユーピンのカーブに設計するよう指示した。
 その後、大雨が降った。
 雨水は水路から溢れ、小山ごと土砂崩れになったんだと。
 やはり、その土地は、そこに住む人の経験だな!」

同時に私は、
先日、ラジオから流れてきたエピソードを思い出した。

「私は豊富な知識を持っている。足りないのは経験のみだ」

そう大作曲家サン・サーンスは語ったらしい。

沢山の情報がネットから簡単に手に入るけど、
やっぱり、現場の話に触れる機会は貴重です!


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