ヒマワリのストライキ
パトリッツィオとドライブの途中、
ひまわり畑に出会ったので、
車を止めてもらい、道路を渡って写真を撮った。
「いい写真が撮れたかい?」
「ん~、ヒマワリの背中を撮った」
「じゃあ、タイトルは
ヒマワリのストライキ だな」
「イタリアらしいタイトル!
水が足りなくて、やってられるか!
と抗議しているのかな?」
「本当にそうかもしれないぞ。
雨が降らなくて水が足りないから、
太陽に背を向けて枯れないようにしてたりして」
「これだけ沢山のヒマワリが同じ行動をとるとしたら、
リーダー格のヒマワリが号令をかけるのかな?
それとも、場所の離れた所で双子の兄弟が
同じ行動をとる事があるけど、ヒマワリも、
皆が同じ考えを持つように出来ているのかな?」
「臭いを出していたりして・・・
キャベツは危険を感じた時、
臭いを放って、仲間にメッセージを伝えるだろ?」
「えっ? そうなの?」
「畑に植わっているあるキャベツが食べられると、
臭いを発する、と聞いた事がある。
臭いを嗅いだ周辺のキャベツ達は、
自分が食べられないように、臭いを発するとか、
葉を頑丈に閉じるとか・・・よく分からないけど、
とにかく臭いの信号を送って
周りのキャベツを守るらしい」
「そういえば去年の秋、
オリーブオイルの鑑定コースの通訳をした時、
ナポリ大学の教授が面白い事を言ってたわ。
虫の被害をうけたオリーブの実からは
特種なアロマが出るんだって。
面白い事に、害を受けていない周辺のオリーブ達も
同様に、このアロマを持つようになるの。
その特殊なアロマは、ローズマリーのような香をし
ていて、結果的に、
絞ったら美味しいオリーブオイルになるんだって」
家に戻ると、早速、
キャベツの臭いについてネットで調べてみた。
驚く事に、その手の研究は日本で進んでいて、
塩尻かおりさんの発表が検索でヒットした。
彼女の文献によると、
キャベツを食べる害虫には、アオムシとコナガがいて、
キャベツは、虫にかじられると臭いを出し、
それらの害虫の天敵を呼びつけ自己を守る、とある。
キャベツに人工的に穴を開けた場合、
天敵が寄ってくるけど、穴の周りを回るだけ。
でも、コナガに食べられた場合、
キャベツは、コナガの天敵を呼ぶ臭いを発し、
アオムシに食べられた場合は、
アオムシの天敵を呼ぶ臭いを発するとのこと。
植物の世界って、面白い!
殺虫剤や除草剤など、日本の農業では
農薬が当然のように使われているイメージがあるけど、
虫の臭いの研究が発達すると、
殺虫剤の代わりに益虫を用い、土壌のストレスが軽減される。
沢山の生態系が存在する畑に向け、
この手の研究が日本で行われている事に安心する今日この頃です!
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