イースターでいい事があった(その2)
イタリアでは、イースターの翌日も休日になる。
一昨日も昨日も友達の家で過ごしたので、
今日はノンビリと家で過ごそうと決めていた。
朝、愛猫ティティちゃんを見ると、
表情が何となく、いつもと違う。
「唇、虫に刺されちゃったのかな?」
と思い、観察してみたら牙のように歯が飛び出ていた。
「歯が折れかかてる。痛いのかな~?
困ったな、今日は休日で動物病院も休みだし・・・」
ネットで調べると、
獣医さんに診てもらって抜歯すべきだ、
と書いてある他(最悪の場合は・・・)などの症状が綴ってあるから、すっかり憂鬱になってしまった。
15時過ぎに、
パトリッツィオが愛犬モッラを乗せてやってきた。
いつものように、近所の川でモッラを遊ばせた後、
バールに行ってカフェをした。
バールの隣には、動物病院の診療所がある。
バールを出たら、ちょうど、診療所の鍵を開けて、
中に入っていく女性が目にとまった。
私は思わず、走り寄った。
「すみません。獣医さんですか?」
「いいえ、アシスタントです」
「あの~、私の猫の口が、こういう状態なんです」
そういって、今朝写した写真を見せた。
「先生の携帯に電話をして、
明日の予約をとったらいかがでしょう?」
「休日なのに、電話しちゃって いいんですか?」
「いいと思いますよ」
私はすぐに、獣医さんに連絡を入れた。
獣医さんとは、もう10年以上の付き合いだから、
友達のような感覚だ。
獣医さんは
「1時間後に診療所に行くから、猫を連れてきて」
と言ってくれた。
祭日だというのに、「直ぐに診ましょう」
と言ってくれる彼女に心から感謝した。
私は家に戻り、
ティティを抱えてパトリッツィオの車に乗り込んだ。
後部座席にいるお転婆なモッラは、
初めてみるティティに対して、わざと見ない振りをしてくれているかのように、大人しくしている。
診療所につくと、獣医の彼女は、
ティティを優しく迎えてくれて、
手際よく処置をしてくれた。
お会計をお願いします、と言ったら、
「大した事してないから、いらないわ」と言われた。
それではあんまりなので、心付けを置いていった。
13歳のティティちゃんは、
キャットフードのゼラチン質が原因で、
歯が相当悪くなっていた。
このままだと、年を重ねる毎に歯が無くなってしまう。
ここ数年、パートナーや親の健康、
そして愛猫まで老化による病症が現れだした。
(皆が健康だったら、どんなに幸せな事か・・・)
でも、本当にそうだろうか?
皆が健康だった数年前、私達の間には、
今ほどの思いやりとか、慈しみとか、
相手を気遣う心が通っていたのかな?
旅行をしたり、外食を楽しめていた頃、
幸せを噛みしめた会話をしていたのかな?
「何食べよう?」とか「何を買おう?」とか、
または、会話を探していたり・・・
あれから数年たった今、
気が付くと、誰かの事を思いやっている自分がいる。
そして「○○さんの状態、どう?」と、
家族やパートナー、友達の間で思いを寄せ合っている。
その中で、小さな事に感謝・感激したりしている。
「健康=幸せ」「病気や老化=不幸」
とは言い切れないんだよね。
将来に対して、ネガティブ妄想に走る事なく、
今の状況で起こりうる、有難いこと、
感謝の出来事を味わいながら生きていく年代なんだな~と思う今日この頃です。
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