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2017年4月26日 (水)

思い出の歌

ふと、ユーチューブで
ミスターチルドレンの「終わりなき旅」を聴いた。

イタリアに留学をしたての頃、
何度、繰り返して聞いただろう?

せめて、歌詞に慰められたくて、
20回くらい繰り返しながら聞いていたあの頃、
今思えば、普通じゃなかったね。

イタリアに来たばかりの頃は、
意志はあるものの
イタリア語で相手に伝える事ができない。

人と居たいのに、
相手の言っている事が分からなくて、
自分の居場所がなくて、
委縮してしまっていたあの頃。

自分が惨めに思えて・・・
でも、周囲に媚びる事はしたくなくて。

時々、高級な商品を買ってお店の人の気を惹いたり、
一度面識があるだけの、肩書ある人の名刺を、トランプのジョーカーのようにちらつかせたりしながら、

「私は、それなりの人間なのだ」

というメッセージを発信していた。

どんなに日本で色々な事をしてきたとしても、
イタリアに来たばかりの頃は、
「表現がうまく出来ない」という事だけで、
まともな対応をされない度に、
自尊心が傷つき、もがいていた。

30歳代だったから、頑張って乗り越えられた。

ふと思う。

高齢になって突然倒れてしまった人、
病気になってしまって、
今までのような生活を送れなくなってしまった人は、
「今」社会に対して表現が上手く出来ないという事で
劣った人のように扱われるような事があっては、
絶対にならない。

若い頃の私が、自分の意思で留学を決め、
環境の変化に戸惑っているのとはわけが違う。

突然、環境の変化を強いられ、
それに向き合う体力・気力も限られている。

残された貴重な時間、
小さな幸せにほほ笑みながら、
今日を愛でながら穏やかに過ごしてもらいたい。

自尊心が傷つけ、気持ちが委縮してしまうような過ごし方はしてほしくない。

心が亡い忙しい状況が、
無意識のうちに弱者や高齢者を傷つける事がありませんように。

ふと「終わりなき旅」を聞いて、
あの頃の窮屈だった気持ちを思い出した。

思い出せて良かった・・・


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