もう10年以上前の事。
シエナでソムリエコースを受講している時に、
講師がこんな事を言っていた。
~ピエモンテ州は
トスカーナと並ぶイタリアワインの名醸地。
その中でもランゲ地区で育つネッビオーロ種は有名だが
実は、ガッティナーラ地区のネッビオーロも実にいい。
ランゲ産ほど大金を払わなくても、
素晴らしいネッビオーロが楽しめるんだ!~
このワイナリーと出会ってから
あの講師の言葉に大きく頷ける。
ここのワインは、
挑発的に存在感を主張するパワフルなタイプではなく、
澄んだ果実と共に凛とした美しいオーラを放っている。
以下、
ブースで聞いた父と息子さんの会話をお伝えします。
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(父)
1750年~1800年、ここアルプス山脈の麓にある
「森の家」と呼ばれる地区に祖先が住み始め、
1860年から葡萄作りを始めたのは確かです。
私と息子で7代目にあたりますが、
もしかしたら、もう少し遡るかもしれません。
(息子)
2014年は非常に難しかった。多雨の為、葡萄は簡単に
病気になりやすく、しなびれて枯れてしまう。
だから葡萄の房と葉に間隔をとり、通気性をよくして
葡萄を清潔に保つ事に細心注意を払いました。
そして8月には、凝縮感とストラクチャーを持たせる為
半分の葡萄を間引きしなければならなかった。
半分を切り捨てるなんて、
目をつぶりたくなる心境だったけど、
もし、全ての葡萄を残していたら、
熟成に耐える葡萄にはならなかったでしょう。
その結果、
自分たちも満足いくワインが誕生しつつあります。
2010年、2013年のように20年間保存できるポテンシャルはないけれど、十分に美味しいです。
剪定時期の畑仕事の他、
5月~7月の成長期は樹が病気にならないように見守る必要があるので、ここから離れられません。
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40ヘクタールある土地のうち、葡萄畑は5ヘクタール。
その他は栗やオークが育つ森で覆われている。
このブースに並ぶ3種類のワインの生産本数は
各種4,000~5,000本。
ただでさえ少ないのに、2014年の収穫では
半分の葡萄を切り捨てなければならなかった。
その事がどういう事なのか?
想像すると、こちらも胸が痛むけれど、
その引き換えに美味しいワインが出来た事に、
2倍の喜びを味わいたい♪
樽で熟成された2014年ヴィンテージワインは、
オレンジがかったルビー色。
ザクロや花のニュアンスを持つ
エレガントさが秀でたタイプ。
2014年ヴィンテージワインは、秋以降に
市場に登場するため「秋の味覚セット」でご紹介。
今回の「春の味覚」では、
ポワっとした飲み口が心地よい、ステンレスタンクのみで仕上げたPramartel 2015をご提供。
熟れたキイチゴのニュアンスが春~夏にピッタリです。
このワイナリーの父と一人息子は、
畑でもカンティーナでも家でも、いつも一緒。
このワインを通じて、
家族の絆が次世代へ伝統・文化を継承する
そんな風味をお楽しみください♪