パトリッツィオの通訳
バールを出たら、空はダークブルーに染まっていた。
「パトリッツィオ、
さっきまで賑やかだった鳥の声が止んだわね」
「ああ。陽が沈んだからな」
「でも、あの電灯の近くで、
クロウタドリがまだ鳴いてる」
「きっと、本を読んでいるのさ。赤ずきんちゃんだ」
「あら?
私には、白雪姫を読んでるように聞こえるけど」
「キヨミ、いっしょだよ。
物語は皆、‛昔々 あるところに・・・
って始まるだろ?」
「そうね」
「もしかしたら、カリメロを読んでるかもな!?」
パトリッツィオはよく、散歩の途中で、
犬や猫、鳥の声を通訳してくれる。
彼の通訳に〈なるほど〉耳を傾けるけど、
猫をみかける度に
「人間野郎、あっち行け」と通訳するところをみると
猫語はあまり得意じゃないんだな、と思ってる・・・
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