神様がくれたアドベンチャー
2月14日、パトリッツィオは
7:30 にボローニャの病院入りするため、
シエナの始発電車に乗らなければならなかったけど、
電車に乗り遅れてしまった。
本来だったら、電車で、
シエナ→フィレンツェ→ボローニャと運ぶ。
パニック状態で車を走らせ、フィレンツェに到着。
目につく駐車場には
〈1時間 3ユーロ〉と書かれている。
いつ退院できるかも分からず、
高額な駐車代は払えない。
やむを得ず、地域住民専用の駐車場に車を置き、
都バスでフィレンツェ駅に向かい、
ギリギリ、予約していた
フィレンツェ→ボローニャ行の特急に間に合った。
それから、病院にいる彼と、何度も連絡を取り合って、
たわいのない日常を語り合った。
2月16日の朝、
いつものようにユーモアあふれる会話をし、
「じゃ、またね!」と切った。
その数時間後、
重たい買い物袋を抱えバスで家に向かっている途中、
彼から携帯が鳴った。
「キヨミ、病院を出るぞ!
これからフィレンツェに向かう」
「エ~?手術はしない事にしたの?」
「いや、日曜日に病院に戻る。
とりあえず、病院を出る許可をもらったんだ。
これからフィレンツェに行って、
車の状態を確かめるんだ」
「了解!」
このバスは、私を降ろした後、
10分経つと折り返しで戻ってくる。
私は荷物を部屋に置き、同じバスに乗り込み、
街に向かうと、接続よく、
フィレンツェ行きのバスに乗れた。
パトリッツィオより30分早く到着したので、
インフォメーションに行き、
彼が駐車した場所に行く都バス乗り場や、
レッカー移動された場合の連絡先などを調べた。
彼との待合わせはフィレンツェ駅構内にあるバール。
見渡しても彼の姿がない。
携帯に電話をすると、
「キヨミの事、見えてるよ~」
と言いながら笑顔で近づいて来た。
私は彼を見つけるなり
「さあ、14番のバス乗り場に行きましょう!」
という意気込みで先を見ていたけど、
彼は、両腕で力いっぱい私を抱きしめて
「キヨミ~、大きな愛~♪」と言いながら、
私を揺すって喜んだ。
〈ああ、私ったら何て管理的なのかしら・・・〉
これまで加速していた頭と心を、
彼のペースにトーンダウンした。
駅の脇のバス乗り場に行くと、
ちょうどバスがやってきた。
発車の準備をする運転手に、
曖昧な説明で行きたい場所を伝えていると、
「私も同じ場所で下車します。一緒に行きましょう」
と、人懐っこいパキスタン人が声をかけてくれた。
彼との会話で、気持ちが和みつつも
ドキドキしながら駐車した道を辿ると・・・
車はそこにあった!
そして、
車には駐車違反のピンク色の紙が貼られていた。
罰金は28ユーロ。
「お~!生まれて初めてだ。
こんなに喜んで罰金を払うのは!」
私達はご機嫌にシエナに向かった。
「あなたといると、飽きないわね!」
私は、14日に車の件を聞いてから、
直ぐに動きたいと思った。
鍵を預かり、運転できる人に頼んで、
素早く解決すべきだ、と思っていた。
でも、今回はこれで正解だった!
今回、私達が体験したアドベンチャーは、
ず~っと記憶に残るし、
16日から3日間、私達は、
いつもの日常生活を御馳走のように堪能した。
「これ、神様の悪戯かしら?
私達を見て、ほくそ笑んでるかもね!」
パトリッツィオはまた、病院に向かう。
考えたところで、そこからは何も生まれないけど、
「どんな時でも、一緒にいる」
という気持ちを強めると、
いい方向にいくんじゃないか?
とインスピレーションを感じる今日この頃です。
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