パトリッツィオの傍らで・・・
朝の10時半。
待合せのシエナ駅にパトリッツィオの車がやってきた。
素早く乗り込むと、
愛犬のモッラちゃんから歓待の挨拶を受けた。
「ボンジョールノ! パトリッツィオ
ボンジョールノ、モッラちゃん!」
「ボンジョールノ、キヨミ!
今日は何処に行こう?」
「そうね、モッラちゃんの意見を聞いてみましょう!」
「何々?・・・行ったことのない所に行きたいだと?
分かった!
じゃ、これから海に行くぞ!」
この言葉を聞いた瞬間、私は
「ノ~!ノ~!」と叫んだ。
こんな素敵な計画はあり得ない。
「モッラにとって、初の海だ!
喜ぶ姿をバッチリ写真に収めるぞ!」
2月の海。しかも月曜日。
高速道路は貸切状態だ。
パトリッツィオは、明日、足の手術を受ける。
そのため、翌朝4時半には家を出て、
朝一の電車でボローニャに向かう。
私だったら、前日は塞ぎこんでしまうと思う。
パトリッツィオの《今を生きる》という精神は、
私の想像を遥かに超えて深い。
私は彼の傍らで、
彼の逞しさを浴びながら、光合成をして生きている。
冬の海。
健康的な夏の眩しさとは違い、
銀に輝く姿も美しいです。
| 固定リンク