シエナのパリオ祭り
シエナでは、
毎年 7月2日と8月16日にパリオ祭が行われる。
私にとって、17回目のパリオ。
年を重ねるほどに、私はパリオ祭から遠ざかる。
パリオを知れば知るほど、
「私はよそ者なんだ」と思い知らされる。
パリオが行われるカンポ広場の周辺では、
場内に入れないシエナ人が、
バールのテレビに見入っている。
レースが終わると、
「ルーパ ルーパ!」
と優勝地区の名を叫びながら人々は走り出す。
街が殺気立っている。
つき飛ばされた女の子は
直ぐに起き上がり、走っていった。
優勝できなかった地区の騎士は、
関係者に護衛されながら、
殴りかかられないように逃げ去っていった。
街角では、
足に包帯を巻いた男性が、松葉杖を放りだして、
取っ組み合いをしかかっているところを抑えられている。
私には、
彼らがどこに向かって走っているのか、分からない。
どうして、泣いているのか?分からない。
どうして、ここまで殺気だっているのか?分からない。
一つ、分かるのは、
パリオ祭とは、
伝統行事を守る、という形式ばった儀式ではなく、
シエナ人の血に溶け込んだ魂である、ということ。
よく観光客が、
地区のシンボルのスカーフをまとっているけど、
まるで、キリスト教信者でない人が、
十字架のネックレスをしているように感じられる。
自分の土地に誇りを持つ、
帰属意識がここまで強い市民が羨ましい。
パリオ祭に血が騒ぐ事はないけど、
ますます、シエナへの興味は深まる今日この頃です。
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