柔らかな会話で、ゆったり目覚めた!
今日の朝は、のんびりすることに決めた。
ベットに横たわったままパトリッツィオに電話をすると、口調にも話題にも、甘味を帯びる。
「さっき、テレビでペンギンのニュースをみたよ。
2011年、ブラジルの沖合で、
油にまみれたペンギンをみつけた男性が、
ペンギンの体を洗って世話をしてやったら、
懐いたんだって。
しばらく一緒に暮らすと、姿を消した。
帰っていったんだな。その後、
ペンギンは男性のところに戻ってきたんだよ。
8,000キロを泳いで!
映像でさ、ペンギンが男性にくちばしを擦り付けて、
嬉しそうなんだ!」
パトリッツィオは、
時々、とびきり甘いニュースを教えてくれる。
私も、朝起きてからユーチューブで見た
エレーヌ・グリモーの事を話した。
「フランスのピアニスト、
エレーヌ・グリモー、覚えてる?」
「ああ、狼の彼女だな」
「そう。彼女のシューマンに惹き込まれた!
オーケストラと彼女のピアノが対話してるの。
指揮者の表情も、これだ! これだ!って感じて、
どこか違う世界に行っちゃってるみたい。
他にも、彼女が狼と戯れている映像があって、
エレーヌったら、大きな口をあけて、
両手でつかんだ狼の口をガブ~って噛みついてた!」
エレーヌ・グリモーの若い頃は、
ボッティチェッリの春に描かれる透明感ある女性そのもので、知性と自然愛、繊細さと強さをまとう彼女は、私の憧れだ。
「動物は愛だな。
毎朝、モッラは俺の起きるのをじっと待ってるんだ。
俺が目を覚ますと、
〝撫でてちょうだい!”って、
全身で喜びを表現する」
「あ~、目に浮かぶわ!
ティティちゃんだって、私の傍にいたがるの。
仕事中はソファーで、寝ているときはベットの上」
「キヨミ、天気がいいから、散歩でもしてこい!」
「そうね。やっと晴れた事だし。
今日の午後、バールで会いましょう。
また連絡するね!」
パトリッツィオとの会話は、私を丸くしてくれる。
気分やさしく目覚めたところで、
これから着替えて、散歩に行ってきますね~♪
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