トスカーナに漂う人間臭
フィレンツェのバス ステーションに到着。
シエナ行のバスもやってきた。
人懐っこそうな運転手は、
2つのスーツケースを乗せる手助けをしてくれた。
「この中に、爆弾でも入っているのかい?
スーツケースにしては、妙に軽いじゃないか?」
「そうかもね! 乗り換えのフランクフルトでは、
手荷物検査が厳重だったわよ。
男の人は、靴も脱がされて検査されるの」
「お~、臭いな!」
「ねえ、今までスーツケースがあったから
トレイを我慢していたの。
出発まで、後10分あるでしょ?
ちょっと行ってくるわね。
大丈夫よ! 爆弾置いて、逃げるんじゃないから!」
トスカーナの場合、
乗客と運転手、消費者と店員など・・・
お互いの立場の仕切りがはっきりとせず、
公私の間のグレーゾーンがあって、
いつでも会話が生まれる。
さっきも、バールで ミルクがちょこんと乗った
カフェ・マッキアートを頼んだら、
「あ~、ごめんなさい!
ミルクがカップからこぼれちゃった」
と言って慌てられたので、
「いいわよ、そんな事」と返事をした。
バスの中では、
後ろのおじさんが携帯で話しをしていて、
彼がサルデーニャ出身だということは
話の内容から分かる。
トスカーナの人は、
どことなくアバウトに生きているイメージもあるが、
バスに高齢者が乗り込んでくると、
さっと数人が腰を上げ席を譲ったり、
私が2つのスーツケースを引きずっていたら、
「お手伝いしましょうか?」と申し出てくれる。
イタリア男性が女性に話しかけるのも、
その場の会話を楽しみたいだけであって
下心があるわけではない。
数日経つと感じなくなるけど、
フィレンツェに降り立った途端、
人懐っこい人間臭を感じた!
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