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2015年9月

2015年9月29日 (火)

お父さんのメンテナンス

「あれ、電話がおかしいな。

 ちょっと、キヨたん、見てみて」

 

「お父さん、

 一度、コンセントを抜いて、また入れてみて」

 

「そう?  あ、正常に戻った」

 

実家では、母が何でもテキパキとこなす。

 

最近は、冷凍庫の調子がおかしかったが、

マニュアルをみながら解決させた。

 

そんな母が今日から1週間、入院の為に不在となった。

 

私は半年に一度の帰省で、両親と過ごすけど、

父に関しては、少しずつ、

生活能力に錆がついているように思える。

 

早めの夜食を終え、

お互い、「お休み~」と言い合った頃、

マンションのチャイムがなった。

 

お世話になっている方から、

新鮮で美味しそうな秋刀魚の贈り物だった。

 

氷水が入った発泡スチロールの箱は、

かなり頑丈にテーピングされている。

 

「キヨたん、はい、この蓋、開けてよ」

 

「ううん。お父さんが開けて! はい、ハサミね」

 

父は、「なかなか、開かない」と奮闘しているが、

私は、違う事で忙しそうなふりをした。

 

箱の中には、威勢のよい秋刀魚が並んでいる。

 

「明日と明後日の分を残して、冷凍しておこう! 

 お母さんが戻ってきたら、食べれるからな! 

 冷凍分の秋刀魚、頭を落としとくか?」

 

「そうね。じゃあ、お父さん、切って」

 

その後、私は腸を処理し、父に1本ずつ渡し、

父は、サランラップに巻いて、冷凍庫に納めた。

 

「やっと終わったな~!」

 

父の声は、晴れ晴れとしていて、明るい。

 

父には元気でいてもらいたい。

 

自分の意志で毎日を楽しんでもらいたい。

 

だからあえて、父に動いてもらう。

 

お母さんの手術は、

幸い、命に関わるようなものではない。

 

母が不在の1週間。

 

それは、今まで何でも母にやってもらっていた父の

手と頭の錆を落とし、油を注ぎ、

円滑な日常生活へ向き合うためのメンテナンスです!

 

 

 

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2015年9月24日 (木)

違いは個性 

ふと考えた。

私は、どうし イタリア人が好きなんだろう?と

昔、イタリアに留学したばかりの頃、
マクドナルドでアルバイトをしていたら、
悪ガキ集団に、
「ジャッロ・ジャッロ 黄色 黄色」と言われ、
フライドポテトを投げつけられたり、
掃除の邪魔をされた。

私は弱気になって、イタリア人の友達に話したら、

「そういう時は
〝黄色じゃないよ。黄金だよ!”って言わなくちゃ!」

と言われ、「カナリアも黄色!」「レモンも黄色!」
と、黄色を話題にその場が盛り上がった。

私は、「そっか~♪」と妙に納得し、
その手の話題になると
「黄金よ、黄金~!」と得意げになって交わし、
その場を盛り上がらせた。

その後、
マクドナルドに出現する悪ガキ達とは仲良くなり、
道端であっても、挨拶するようになった。

今年のシエナは暑くて、私は日に焼けているらしい。

何人かの日本人から、
「聖美さん、黒いですね~」と言われる。

すると咄嗟に、
「そうですよ! だって、夏でしたから。
 私を見て、
 今年の葡萄やオリーブの出来を予測してくださいね。
 私が黒かったら太陽があった年。
 私が白かったら、多雨で今一な年!」と答え、

「オリーブ、今年はいいんですね!」
と話題が流れていく。

私にとっては、ごく普通の会話だが、
美白に気を付けている女性に「黒い」などと言ったら
それで、大騒ぎされるかもしれない。

私は日焼けやシミ、服装など全く気にしないタイプで、
人の最高のオシャレは、笑顔や穏やかな表情で、次に、
周囲の人を気遣い、
全体を一体化できる話術だと思っている。
人間は皆、それぞれ違いがあって、
それを指摘されると、傷ついたりする時がある。

私はイタリアにて、
パトリッツィオをはじめ、沢山の人たちとの交友から、
多様な価値観に触れている。

その中で培った、自分の価値観が
バロメーターとなっているから、
他の人に何かを指摘されると、
それをお喋りのネタに取り入れてしまう。

でも、私は本来、とってもナイーブな性格だから、
大勢の人から、自分の違いを指摘されると、
考えこんでしまうかもしれない。

その時、私が塞ぎこんでしまったら、
その私の態度が、周囲の空気を重くしてしまって、
周囲の人との壁が出来始める。
反対に、冗談で返して、周囲を笑わせたら、
結果は違ってくる。

イタリア人は、美男美女が多い。

でも、美しさ、可愛さは、人気にはつながらない。

個性がある人の周りに人が集まってくる。

面白い事に敏感なのだ。

よく、病気の人は笑え。嘘でも笑え。
そうすると免疫が高まる、というけど、
そんなの気持ち悪い。

笑いをマニュアル化して日課に組むより、
本当に笑えるようになるため、心が柔らかくなるためのポイントを考えた方がいいと思う。
明るさ、笑い、パワーは、
日常生活で生じる、ちょっとしたハプニングにネタがあったりする。
今日の朝は、こんな事をぼ~っと考えてました・・・

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2015年9月15日 (火)

今年のオリーブは、豊作!

今のところ、
オリーブの実は健康にすくすくと育っていて、
みんな、笑顔です!

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2015年9月 4日 (金)

それじゃ~、解散!

「可哀そうに・・・家の匂いを恋しがってるのね」

「室内に帰りたがっているんだ・・・」

「全く、年老いたらポィっと捨てるなんて、許さない」

新聞屋から、乳母車の持ち主家族と、
新聞を脇に挟んだ男が出てきて、
私たちは、猫を見つめながら話を始めた。

「君、猫が好きだったら、是非、連れて帰ってくれ」

「・・・連れて帰りたいんですけど、駄目なんです。
 先住猫の気性が荒くて」

「俺の家には、犬が2匹いるんだ」

新聞屋の隣、切り売りピッツァのお店の前には、
水と餌用の容器が置いてある。

室内飼いされていた猫にしては、
車や通行人を怖がる気配がない。

道路の向こうに車がとまり、
一人の男性がこちらに向かってやってきた。

新聞屋の前で立ち止り、猫に目をやった。

「あ~、猫ちゃん」

「可哀そうだろ? 捨てられたんだ。この猫」

「えっ? 確かこのアパートの上に住む
 グラツィエッラさんの猫だよ」

「グラツィエッラさんって、
 あの、ボランティアをしている彼女かい?」

「そうさ。彼女の猫だよ」

それを聞いた途端、私たちは一同に、
「アッローラ(それじゃ~!)」と安堵の声を発して

「アリベデルチ(さよなら)~」

と声を掛けあって、解散した!

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2015年9月 1日 (火)

シエナの伝統菓子 カヴァルッチの作り方

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