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2015年7月12日 (日)

葡萄から教えてもらった事

南トスカーナのモンテプルチャーノ村で
ワイン作りに勤しむルカを訪ねた。

彼の畑は、モンテプルチャーノで1、2を争うほどの
有名な蔵の畑に隣接している。

先週の日曜日、
この地に、ぞっとするような雹が降った。

有名な作り手、P社の樹をみると、
葡萄の葉には穴があき、房もダメージを受けている。

ダメージを受けた葉は、
リンパを流す事も、光合成の能力も衰え、
破裂した葡萄の粒からは果汁が流出して、
カビが発生するだろう。

そうなると、
何かしらの薬を用いた処置を施すことになる。

一方、10メートルしか離れていないルカの畑をみると、
被害を受けているはずの房や葉の状態が全く違う。

傷がついた葡萄の粒は黒く縮れて、
自らポロっと地面に落ちる。

穴のあいた葉以上に、新しい葉が誕生し続け、
エネルギーに満ちている。

雹が降ったのは、夜の7時。

ルカは、その日の夜、傷ついた葡萄に銅を散布した。

銅は、自然物質として、
無農薬農園に一定量の使用が認められていて、
殺菌消毒の効果がある。

「キヨミ、例えば、人は傷を負うと、
 病院に運ばれるよね。
 同じ傷を負った人が二人いるとする。
 もし、どちらかは、人間性豊かな先生に診てもらい、
 愛情をもって、看護婦さんや見舞に来てくれる人達
 に触れると患者は良く治るよね。
 同じ処方をされた患者どうしても、
 愛を感じられる患者とそうでない患者では、
 結果が違ってくる。
 それと同じだよ。
 葡萄も、傷がついたら、愛情をもって接するんだ。
 そうすると、
 それに答えて、治る力を発揮してくれる」

この言葉を聞いた時、
病室にいるパトリッツィオと重なってしまい、
涙が出そうになった。

彼も、病室で沢山の愛情を受けながら、
良い方向に行くはず・・・・

この日、農園を後にして、ルカと昼食に出かけた。
レストランでは、ルカのワインを注文した。

昼食を終えた頃、パトリッツィオから電話が入った。

「キヨミ、いいニュース!
 月曜日には、退院できるぞ~!」

「え~、本当! やった~!!!」

流石に、嬉しくて涙が出ちゃった!

食事を終え、珈琲を飲んだ後だったけど、
テーブルの上に残っていたワインで、また乾杯!

傷ついてしまった事を嘆くよりも、
愛情を注いで、やれる事をしなさい、って

葡萄からも説教を受けた、
意味ありげな1日でした!

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