今日の気持ち
病室にいるパトリッツィオから電話が入る度に、
私に元気が注がれる。
「ズルイわね。あなた、病院にいることで、
株がどんどん上がってるじゃない!
元気な声が聞けて嬉しいわ。
思えば、私の事をいつも褒めてくるわね。
その言葉が、どれだけ栄養になってるか・・・」
「だって、キヨミは偉いだろ?」
「違うのよ。あなたに褒めてもらえるから、
今の自分でいられるの。
あなた無しでは、弱くてもろいのよ・・・。
こうして離れていると、
あなたの存在の重要さに改めて気付かされるわ。
ねえ、もうちょっと、私をウンザリさせるような
態度をとってくれないかしら?
あなたの事、大切に思う気持ちが大きい分、
何かあったら、どうしよう? って
不安も膨らんでしまうのよ。」
「よし、分かった
これからは、会う度に、蹴飛ばしてやる!」
やっぱり、笑わせてくれる。
パトリッツィオは、来週に退院するけど、
また来月も手術をして、悪い部分を切り取った後に、
テラピーが始まる。
ラジオのニュースに耳を傾けると、
ギリシャのユーロ圏脱退に伴う経済の大混乱や、
イスラムテロ、政治の話題...
勉強不足で基礎知識がないから、
良く状況がつかめず、ピンとこない。
フェイスブックをみると、知人のパーティーシーンの写真や、仕事の活躍ぶりの報告やら・・・
日々、情報に触れる度に、
新たな事を吸収して、知らない事を調べて、
今の自分の仕事のやり方に問題を感じたり・・・
何となく、もやもやと過ごしてきたけど、
なんだか、気持ちが整理されてきた。
私の場合、「情報量=幸せ度」という方程式にはならず、知らない事を叩き付けられる情報社会に、ちょっと醒めてきている。
世界の問題に目を向けるのも必要だけど、今は、
身近にいてくれる人と共感しあえる事が大切に思える。
私の周囲で、病気と戦っている人、
大切な人が困難な状況におかれて一緒に苦しんでいる人、孤独に苦しむ人がいると思う。
私がパトリッツィオの件で、友達のアンナに電話をしたら、あんなに明るい彼女が、実は、ある事で長く苦しんでいる事を告白してくれた。
私は無意識に、今、自分が抱えている仕事や、
今後の豊富を話題にし、
歴史や文化のテーマを取り上げながら、
ちょっと知的さを装ってみたり、という傾向がある。
「チャレンジ」「前向き」「目標に向かってGO!」というトーン。
でも、今、パトリッツィオの事とか、
金曜日から家の水の出が悪い事とか、
パソコンが壊れたとか・・・
今の自分を明かすと、
友達も、今、向き合っている事を明かしてくれて、
共感が生まれる。
昔は、どこか、自分をプレゼンテーションしながら、
その場に居る人達に、自分を受け入れてもらおうとして
格好つけたり、良い子でいようとしていた。
今は、ありのままの自分を明かしても、大丈夫。
受け入れてくれる人と、共存していけばいい。
病気を通じて、
自分にとって、大切なものと、あまり必要じゃないかな?
というコトが、なんとなく明らかに整理されていく今日この頃です。
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