今日のちょっとした出来事
朝、ボイラーのテクニカルに電話をした。
「金曜日に来てくれるはずだったのに、
来てくれませんでした。
もし、来れないと分かったら、
電話1本、欲しかったです。
いつ、来てくれるんですか?」
「あ~、すみません。
金曜日は、訪問しきれなくって・・・
今日の17時以降に伺います」
18時を過ぎても、外気は一向に下がらず、
蝉が癇癪を起して、ヒステリックに鳴いている。
(今日も来てくれないかな?)と諦めかけた頃、
テクニカルが来てくれた。
彼らの事務所は、
私が行きつけのバールのすぐ近くにあり、
来てくれた技術者は私をよくバールで見かけるらしい。
彼が作業をしている傍らで、私は話しかけた。
「この時間でも、働き続けるのね。
残業手当って、付くの?」
「そんなの、付かないよ」
笑いながらも、汗を吹きながら作業を続けている。
「毎日、夜20時頃に帰宅して、
奥さんに不平を言われない?」
「奥さん、いないから。ちなみに、彼女もいない!」
「あ~。じゃあ、犬と暮らしているの?」
「ノ-。一人暮らしだよ」
「あ~。一人で暮らしていて、寂しくない?」
「寂しくないよ!友達と一緒にいるから。
そりゃ、毎日じゃないけどね。
女友達だったら、もっと嬉しいかな!」
20分ほどで修理は完了。
彼は、次の訪問先に向かうため、
素早く道具をしまい込んで、ドアに向かった。
「幾らかしら?」
「いらないよ」
「え~、そんなのダメよ。わざわざ来てくれて、
時間を割いてくれたんだもん」
「本当に、大した事してないから、いらないよ」
「困る、困る・・・ちゃんと払う!」
結局、彼は受け取らないで玄関に向かった。
「名前、何ていうの?」
「ステファノ」
「今度、バールであったら、珈琲をおごらせてね!」
ステファノは、ハハッと笑って、去って行った。
私は、直ぐにバールのガブリエーレに電話をした。
「ねえ、テクニカルのステファノって、知ってる?」
「勿論」
「今ね、彼が修理に来てくれたのよ。これくらいの事、
って言って、ただでやってくれたの。
私、10ユーロを払うから、
ステファノが来たら、おごってあげて! 」
「おお!了解!」
今日は、個人所得税で、
4000ユーロ以上を国に徴収された。
でも、こうして、日常生活の中で、
温かな心遣いに触れて、感謝で気持ちが満たされると、
幸せな気分になる。
お金ががっぽりあって、人情に触れられない、
としたら、そっちの方が、厳しいかな・・・・
今日も、ありがたく過ごしました・・・
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