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2015年6月21日 (日)

願い

夜の10時。

外が、藍色に染まった頃、
部屋の西と東の窓を開けて、
夜風の通路を敷いた。

ひんやりとした風は、湿った土の香りがして、
時々、菩提樹の甘酸っぱい香りが部屋を通り過ぎる。

私とティティちゃんは、ベットに横たわって、
ラジオから流れるオペラに浸かっている。

お腹も満たされて、
あとは、ゆっくりと眠りにつくだけ。

気分は解放されているはずなのに、
最近、どうしても、難民について考えてしまう。

難民キャンプで暮らすロヒンギャの民や、南イタリアのランペドゥーザ島に漂流するアフリカ人は、

「ただ、平和に暮らしたい。それを夢見ています」
と言っている。

悪いことをしていないのに、
囚われて、殺されてしまわないように
空腹に飢えて死んでしまわないように・・・

生き延びよう、と逃げてくる人が沢山いる。

イタリアでは、
毎日のように難民の話題がニュースで報道され、
擁護の意見と、受入れ拒否の意見が述べられている。

ハンガリーでは、移民の流入を阻止する為、
国境に高い壁を設置する計画がある。

「襲われる心配なく、安心して生活したい」

それだけの事。こんな素朴な日常を夢みて、
命がけで逃げてくる民が、
大切な人と安心して眠れますように。

お腹が満たされますように・・・

それだけの願いすら許されない、
という事になりませんように・・

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