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2015年5月 8日 (金)

ミケーレ農園より、こんにちは!

朝の8時 霧のベールに覆われた葡萄畑に、
鍬を担いで踏み込んだ。

一見、ただの野原のように見える区画だが、
そこには、昨年の4月に植えたメルローが、
勢いよく自己主張をする雑草達にに囲まれながらも、
控え目に、でもしっかりと列をなしている。

小さな葡萄の葉を見分け、
クワを振り下ろして周辺の雑草を根こそぎ掘り返す。

20~30センチ掘り返すと
大抵の雑草の根は地上に放り出されるけど、葡萄は
1年かけて しっかりと根を深く伸ばしているので、
びくともしない。

無農薬の畑では、親指大ほどの幼虫が
丸くうずくまってスヤスヤと眠っていて、
ふいに、日の光をくらったミミズは、大慌てしている。

地上で派手に振舞う雑草は、実は根が浅く、
小さくて地味な葡萄はしっかりと根を張っている事に
共感してしまう。

粘土質の土壌は、
乾くとパカーン地割れしてしまうので、
葡萄の木の周辺には、こんもりと土を盛る。

しかし、地面に近い接ぎ木の位置から伸びる芽を
覆ってしまわないよう、土を盛り過ぎてもいけない。

ついさっき迄のヒンヤリした空気は
いつの間にか消え去り、
気温の上昇に比例して、鍬の重みが増していくので、
こういった細かな動きに、手首が火照り始める。

「もうダメだ~! ぶっ倒れる前に退散~!
 カンティーナに行ってるね~!」

私は、3時間でギブアップ!

しかし、この作業の為に雇われているダリオは、
黙々と作業を続けている。

カンティーナでは、ミケーレと、娘のサマンタが
ワインの澱引作業をしていた。

「今朝は霧が幻想的だったわ!」

とサマンタに話かけると、

「あれ、小さな葡萄の木にとって、良くないのよ。
 湿度が多いと、ベト病になるから」

と私を見て話す間に、澱引の器械からワインが
プシュ~っと吹き出し、

「バッボー(父さ~ん)!ストップ、ストップ!」
と声を張り上げたので、私はお喋りを止めた。

直射日光を浴びる畑作業も大変だけど、
涼しいカンティーナでも、楽な事はなさそうだ。

日本の人が、
ミケーレ農園の「キャンティ」を買ってくれる。

この事が彼らにとって、どんなに嬉しい事なのか・・・

ほんの僅かな作業からそれを感じ取れる。

日本の方は、簡単にシエナまで飛んでこれない。

でも、ワインを通じて、
シエナと触れて頂く事ができる。

ワインに限らず、中小の作り手が汗水流して
自然と向き合って手掛けた農作物って、凄い!

どこでもドアのように、世界を繋いでくれるんだ!

と改めて感じる、今日この頃です。

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