ミケーレ農園より、こんにちは!
朝の8時 霧のベールに覆われた葡萄畑に、
鍬を担いで踏み込んだ。
一見、ただの野原のように見える区画だが、
そこには、昨年の4月に植えたメルローが、
勢いよく自己主張をする雑草達にに囲まれながらも、
控え目に、でもしっかりと列をなしている。
小さな葡萄の葉を見分け、
クワを振り下ろして周辺の雑草を根こそぎ掘り返す。
20~30センチ掘り返すと
大抵の雑草の根は地上に放り出されるけど、葡萄は
1年かけて しっかりと根を深く伸ばしているので、
びくともしない。
無農薬の畑では、親指大ほどの幼虫が
丸くうずくまってスヤスヤと眠っていて、
ふいに、日の光をくらったミミズは、大慌てしている。
地上で派手に振舞う雑草は、実は根が浅く、
小さくて地味な葡萄はしっかりと根を張っている事に
共感してしまう。
粘土質の土壌は、
乾くとパカーン地割れしてしまうので、
葡萄の木の周辺には、こんもりと土を盛る。
しかし、地面に近い接ぎ木の位置から伸びる芽を
覆ってしまわないよう、土を盛り過ぎてもいけない。
ついさっき迄のヒンヤリした空気は
いつの間にか消え去り、
気温の上昇に比例して、鍬の重みが増していくので、
こういった細かな動きに、手首が火照り始める。
「もうダメだ~! ぶっ倒れる前に退散~!
カンティーナに行ってるね~!」
私は、3時間でギブアップ!
しかし、この作業の為に雇われているダリオは、
黙々と作業を続けている。
カンティーナでは、ミケーレと、娘のサマンタが
ワインの澱引作業をしていた。
「今朝は霧が幻想的だったわ!」
とサマンタに話かけると、
「あれ、小さな葡萄の木にとって、良くないのよ。
湿度が多いと、ベト病になるから」
と私を見て話す間に、澱引の器械からワインが
プシュ~っと吹き出し、
「バッボー(父さ~ん)!ストップ、ストップ!」
と声を張り上げたので、私はお喋りを止めた。
直射日光を浴びる畑作業も大変だけど、
涼しいカンティーナでも、楽な事はなさそうだ。
日本の人が、
ミケーレ農園の「キャンティ」を買ってくれる。
この事が彼らにとって、どんなに嬉しい事なのか・・・
ほんの僅かな作業からそれを感じ取れる。
日本の方は、簡単にシエナまで飛んでこれない。
でも、ワインを通じて、
シエナと触れて頂く事ができる。
ワインに限らず、中小の作り手が汗水流して
自然と向き合って手掛けた農作物って、凄い!
どこでもドアのように、世界を繋いでくれるんだ!
と改めて感じる、今日この頃です。
| 固定リンク