オリーブの苗木
オリーブの苗木の購入に同行した。
フィレンツェから北西に約33km離れたピストイア県は
苗木の生産地として有名で、その中でも、
オリーブの苗木の生産は、
ペーシャという街に集中している。
長い街道沿いには、
沢山のオリーブ苗木生産者が軒を連ねるが、
ビオを扱う評判の良い生産者となると、数が絞られる。
苗木屋は、県外や海外とも取引もあるので、
面白いノウハウや情報も集まる。
この冬、ペーシャのある苗木屋が
日本に苗木を輸出した事は知っていたけど、
土を付けず慎重に送ったにも関わらず、
その後、日本の検疫でひっかかり、
焼却処理された事を知った。
プーリア州では、
オリーブの木がバクテリアの被害を受けていて、
フランスは、プーリア産の農産物102品目に対して、
輸入禁止措置を施した。
シーンは変わるが、
この前、日本で検疫に携わっていた関係者の方から、
こんな話を聞いた。
「以前、沖縄にはウリミバエが発生していた為、
本土への果物や野菜の流通が規制されてました。
1972年に沖縄が日本に返還されてから30年かかって、
ウリミバエを根絶させんです。放射能を利用して。
放射線を浴びた雄のハエを生産する工場を設け、
大量に放つ事によって絶滅へと追いやったんです」
蒸し暑さと雨量の多い日本では、農作物を守るため、
様々な試行錯誤がなされているんだろうな、
と改めて、農業の大変さを感じさせられた。
病原菌は、湿気と暑さが繰り返される環境で繁殖する。
昨年のトスカーナは暖冬で雨量が多く、
どの農園も病原菌に悩まされた。
今年はというと、
つい最近まで寒い日が続き、空気がカラッと乾いていて、オリーブの木にとっては良いコンディションだ。
この時期、車窓からトスカーナの丘を眺めると、
オリーブの木々はまるで床屋に行ってきたかのように、
すっきりとしている。
枝が密着して籠った状況は病原菌の住み家となるので、
剪定して通気性を良くし、
切り落とされた枝は焼却され、菌が焼き払われている。
剪定に使用したハサミを伝って、
病原菌が他の木に移らぬよう、消毒も欠かさない。
万が一、プーリアで発生している病気 「Xylella fastidiosa」のような現象が見つかった場合、トスカーナ州では、即効、専門機関に連絡をする事になっている。
トスカーナ州をあげて、出来る限りの事はしているが、
耕作放棄地が多いと、病原菌に気付く事なく、
被害が広まってしまう恐れがある。
イタリアは、失業率も高い。
若くして失業中の人、もしくは定年退職をしても、
まだ働きたい人などを巻き込みながら、
イタリア人が自国の農業を守る体制が出来るといいな
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