ローマの休日
パスポートの更新の為、
ローマにある日本大使館に行った。
午前中に申請すると、
午後の4時には新しいパスポートを発行してくれる。
折角のローマ。
待ち時間を観光で楽しもう!という事で、
今回はパトリッツィオも便乗し、
私たちは、ローマの休日を実行するため、
シエナからバスでローマに向かった。
大使館で申請を済まし、
テルミニ駅から2階建ての観光バスに乗り込んだ。
私は日本語の音声ガイドを聞きながら、
「ふぅ~ン」とか「へぇ~!」と頷きながら
左右の建物に目を見張り、時々 歓声をあげた。
パトリッツィオも、とっても気分が弾けていて、
音声ガイドのバックに流れる曲に合わせて歌っている。
凄い音痴だけど、何だか 楽しい。
「ねえ、パトリッツィオ、バチカンの近くだけあって、
シスターが沢山いるわね!」
すると、
「あ~! ペンギンかと思った」と答えが戻ってくる。
スペイン広場で下車し、狭い路地に並んだテーブルで
ローマっ子らしくランチをとり、
トレビの泉に向かった。
観光バスでもらった大雑把な地図では、
現在地と目的地が測れない。
地元のイタリア人に聞くと、誰もが
「この道を真っ直ぐ行って、左」と
いとも簡単そうに説明するけど、
トレビの泉にはなかなか辿りつくことが出来ない。
「何処に移動させちまったんだい!全く!」
目的地にたどり着けない時、彼は決まって、
それが移動してしまったせいにする。
やっとの思いで辿りつくと、工事中で
「コインを投げないでください」との案内が掲げられ、私たちが描いていた浪漫は漂っていなかった。
そろそろ、パスポートが出来る時間なので、
タクシーを拾った。
「運転手さん、
トレビの泉、いつ、工事が終わるんでしょうね?」
「いゃ~、分からないな~。
トレビを見に来たんですか?」
するとパトリッツィオは、
「いや、コインを拾いに来たんだ」と答える。
Tシャツ姿の運転手は、この冗談で気持ちが和んだらしく、お喋りが始まった。
「逮捕されるよ。たまに、新聞に載るんだ。
この前は、太った男が拾ってる写真が載ってたよ」
「磁石で釣るって作戦はどうだい?」
「お金って、磁石にくっつくのかね~?」
喋っているうちに、大使館に到着した。
トレビの泉から日本大使館までは、5.5ユーロ。
あまりの近さに拍子抜けする。
私は、パスポートを受け取る為に領事館に進み、
その間、パトリッツィオはトイレに行った。
戻ってくると、彼は満足気に新聞を読んでいる。
「キヨミ、気分上々だ!
トイレがすっごく広くて清潔。いい香りもして、
まるで俺も大事な人物になったようだ!」
大使館の守衛は、最初、厳つい表情でパトリッツィオを凝視してたけど、帰り際には、笑顔で挨拶をしてくれた。
午後の5時になると、疲労を感じ始め、
建物や歴史への興味も薄れ
人混みと騒音に、疲れが積もり始める。
私たちは、シエナ行のバスに乗り込むと、
軽い眠りについた。
目を覚ますと、バスは緑の海底を突き進んでいた。
日本を離れてから、
改めて日本についての特徴が見えてきたように、
今回、シエナを離れて、
改めて、シエナの特徴が見えてきた。
ローマでは、紀元前からの歴史に触れられる。
皇帝の権威がどれほど凄かったのか、
どれだけの人間が、
そして奴隷が、これらの建築に関わってきたのか
それをバスの2階席から、
いとも簡単に味わえてしまうなんて、
考えてみたらすごい事だ。
一方、シエナでは、
広々とした葡萄畑、オリーブ畑が広がっていて、
いとも簡単に、農家の人と出会える。
紀元前から庶民の食卓にあった
ワインやオリーブオイル。
ローマの、
「法王」「皇帝」「英雄」にまつわる建築物に対して、
シエナでは、
「イタリア庶民」「食」「農耕」にまつわる畑を紹介していきたいな~、と改めて感じた、ローマの休日でした!
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