大人のマナー
来月、シエナでモーツァルトをテーマとしたコンサートをすることになり、その練習の為、クララの家に集まった。
ソプラノの一人、ウリッケはドイツ人女性。
大柄の彼女は、
いつも大きな笑顔と賑わいをもって登場するので、
室内が喜劇舞台のように生きてくる。
「はい、これ! 魔笛の衣装に役立つでしょ!」
ウリッケは
孔雀や鶏の羽根が詰まったビニール袋を差し出した。
「いつもね、鶏たちは私を見ると、
餌をくれると思って、トコトコ寄ってくるの。
でも、毛をむしって以来、私を見ると、
ノーノ―、ノーノ―! って逃げてってしまうわ!」
腰に手を当て、豪快に笑う彼女につられ、
私たちも吹き出した。
彼女は、キャンティクラッシコで知られる素晴らしい場所で、アグリトゥリズモを経営している。
犬2匹、猫8匹、そして30羽の鶏と生活を共にするが、
鶏が鳴く時間はまちまちで、
夜中の2時や3時にも鳴いてしまうらしい。
以前、アメリカ人の弁護士が宿泊した際、
深夜の鳴き声にクレームをつけてきたので、
彼女は鶏にテラコッタの鉢をかぶせ、
鳴き声が響かないようにした。
ポコポコと置かれた鉢の光景を想像すると可笑しくて、
それをパトリッツィオに話すと、
「そんで
その鉢植えでは、卵の木が育っているかい?」
とユーモアで答えが帰ってきた。
大きな笑顔で人に親近感を与えること、
ユーモアを口にすること、
その場の空気を温めること・・・
シエナにいる50代~60代の友達から、
そんなマナーを学んでます!
| 固定リンク