人間性が豊かだから!
この週末は、友達とボローニャで過ごした。
ボローニャのサンタチチリア礼拝堂では、
年間159のコンサートが開かれる。
「サンジャコモ フェスティバル」
と呼ばれるこのコンサートはすっかりボローニャ市民に支持され、この日も礼拝堂は聴衆で埋まった。
このコンサートが生まれた背景が、なかなか面白い。
その昔、神父が浮浪者に食事を振舞い始めると、
その噂をききつけ、
遠方からも浮浪者がこの教会に集まるようになった。
同時に、「浮浪者が増え、治安が悪くなる!」と
市民からの抗議が高まり、それで思いついたのが
市民の為のコンサート。
浮浪者に食事を振舞い、そして市民に音楽を振舞う。
今では見事に、両方の行いが両立している。
18時になると、神父が現れ、
「この前のクリスマスは、経済的に恵まれない人達に
オリーブオイルをプレゼントすることが出来ました。
皆様の献金に感謝します・・・・」
と慣れた口調で挨拶をし、
この日のコンサート「愛の音楽」が始まった。
ヨハンがバイオリンを弾き、エリーナがピアノ伴奏を務め、私は、ピアノの楽譜をめくるため、壇上で音楽を聴いた。
ヴェートーベンのロマンスから始まり、
クライスラーやスメタナの曲が続き、
聴衆は愛の旋律に包まれた。
コンサートが終わり、礼拝堂を閉めるというので、
迷惑にならぬよう神父に挨拶をして去ろうとしたが、
神父はかなりのお喋り好きで、早い口調で語り続ける内容はかなり庶民的だ。
今まで見てきた音楽家の変わった癖を語り始め、
そして、パンフレットをめくりながら、
これまで演奏した美人奏者について語り始めた。
「このピアニスト、知ってる?
金髪で長身、足が長くて、ベッラ・ベッラ(美しい)
あっ、あの日の奏者もベッラ・ベッラだったよ、
金髪で足が長くて・・・」
エリーナも私も、少し呆れて、
「ああいう癖のある神父は、たまに会う方がいいわね。
近くにいたら、うざっとい!」と言って笑った。
シエナに戻り、パトリッツィオに、
神父の尊敬すべき活動内容、
そして女好きの点を報告すると、
「そりゃそうさ。
神父は人間性が豊かなんだ。女好きも当然だろ!」
と平然と答え、続けて
「キヨミも知ってる、S神父」
「あ~、教会で移民たちのフェスタをする、
あの寛大な神父ね」
「そうそう。
今の教会にやって来た理由、知ってるかい?
前の町に4人の愛人を作って教会を追いだされたんだ」
と言って、クックッと笑った。
「それは それは、人間的ね・・・」
イタリアは、
マンジャーレ(食べる)、カンターレ(歌う)、
そして アモーレ(愛)の国。
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