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2015年1月12日 (月)

人間性が豊かだから!

この週末は、友達とボローニャで過ごした。

ボローニャのサンタチチリア礼拝堂では、
年間159のコンサートが開かれる。

「サンジャコモ フェスティバル」
と呼ばれるこのコンサートはすっかりボローニャ市民に支持され、この日も礼拝堂は聴衆で埋まった。

このコンサートが生まれた背景が、なかなか面白い。

その昔、神父が浮浪者に食事を振舞い始めると、
その噂をききつけ、
遠方からも浮浪者がこの教会に集まるようになった。

同時に、「浮浪者が増え、治安が悪くなる!」と
市民からの抗議が高まり、それで思いついたのが
市民の為のコンサート。

浮浪者に食事を振舞い、そして市民に音楽を振舞う。

今では見事に、両方の行いが両立している。

18時になると、神父が現れ、

「この前のクリスマスは、経済的に恵まれない人達に
 オリーブオイルをプレゼントすることが出来ました。
 皆様の献金に感謝します・・・・」

と慣れた口調で挨拶をし、

この日のコンサート「愛の音楽」が始まった。

ヨハンがバイオリンを弾き、エリーナがピアノ伴奏を務め、私は、ピアノの楽譜をめくるため、壇上で音楽を聴いた。

ヴェートーベンのロマンスから始まり、
クライスラーやスメタナの曲が続き、
聴衆は愛の旋律に包まれた。

コンサートが終わり、礼拝堂を閉めるというので、
迷惑にならぬよう神父に挨拶をして去ろうとしたが、
神父はかなりのお喋り好きで、早い口調で語り続ける内容はかなり庶民的だ。

今まで見てきた音楽家の変わった癖を語り始め、
そして、パンフレットをめくりながら、
これまで演奏した美人奏者について語り始めた。

「このピアニスト、知ってる?
 金髪で長身、足が長くて、ベッラ・ベッラ(美しい)
 あっ、あの日の奏者もベッラ・ベッラだったよ、
 金髪で足が長くて・・・」

エリーナも私も、少し呆れて、

「ああいう癖のある神父は、たまに会う方がいいわね。
 近くにいたら、うざっとい!」と言って笑った。

シエナに戻り、パトリッツィオに、
神父の尊敬すべき活動内容、
そして女好きの点を報告すると、

「そりゃそうさ。
 神父は人間性が豊かなんだ。女好きも当然だろ!」

と平然と答え、続けて

「キヨミも知ってる、S神父」

「あ~、教会で移民たちのフェスタをする、
 あの寛大な神父ね」

「そうそう。
 今の教会にやって来た理由、知ってるかい?
 前の町に4人の愛人を作って教会を追いだされたんだ」

と言って、クックッと笑った。

「それは それは、人間的ね・・・」

イタリアは、
マンジャーレ(食べる)、カンターレ(歌う)、
そして アモーレ(愛)の国。

それは、人にも自分にも「寛容」の上に成り立っているのだな、と感じる今日この頃です。

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