va bene !
ヴァ ベーネ(va bene 了解)って言っちゃった!
本当は、ヴァ ベーネなんかじゃないのに・・・
もしあの時「私には無理です」って言ってたら、
今頃、どんなに楽だろう。
私は昔から、人前でピアノを弾こうとするとドキドキして
平常心を失い、脳と指先の接続が壊れ、
そんな自分との格闘に汗が噴き出てしまう。
そんな私が、来月のモーツァルトのオペラコンサートで、
伴奏を務める。
全ての曲を担当する訳ではないけど、
また今日も2曲新たに増えて、10曲になった。
昨年の9月、中国人留学生のサベリオが、生れてはじめて、
観客の前で歌を披露した。
すると、シエナの合唱団に所属する とある男性がブーイングをした。
サベリオは気が動転してしまい、
それから、フィナーレが狂ってしまった。
街中に住むサベリオは、近所迷惑を考え、思う存分に歌の練習が出来なかったので、私の家に通って練習をしていた。
本当だったら、
9月のコンサートでは私が伴奏をするはずだったけど、
以前から、日本への帰省の航空券を買ってしまっていたので、
当日、伴奏が出来なかったけど、もし私がいたら、
最期に思いっきり「ブラーヴォ!」と叫びたかった。
人生初めてのステージで傷ついたサベリオも、
来月のコンサートに出演する。
19歳の彼は、
「緊張」「怖い」「不安」と言った言葉を発する代わりに、
「ヴァ ベーネ(va bene了解)」と穏やかに答える。
まだイタリア語もおぼつかないのに、
イタリア語とドイツ語の歌詞を暗譜して、檀上で演技を交えて歌う。
そんな彼の成長が、とっても眩しい。
社会科学者のエイミー・カディ女史が、こんな事を言っている。
「態度は効果を生み出す。体・態度が心に影響を及ぼし、
心が行動に影響を及ぼし、行動が結果に影響を及ぼす。
態度ありきなんて、“振りをしているようで嫌だ ″
と思うかもしれない。でも、振りをし続けるうちに、
“ああ、やれている!本物になれてる、ちゃんとやっている!”
に変えていくことが大事」と。
音大を出ていない私は、
「ここに私がいるべきではない」と思ってしまう。
でも今日から、委縮した態度を改め、大丈夫な振りをしよう。
そして、納得がいくまで練習しよう。
歌い手は、一泊、拍子を間違えるかもしれないし、
デュエットで上手くかみ合わないかもしれない・・・
だから、コンサートに向けて伴奏の完成を目指すのではなく、
コンサートでは、相当、柔軟に対応できるようになっていなければならない。
そして、穏やかな顔で、欲を言うと、楽しみにながら演奏したい。
自分と戦う今日この頃です!
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