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2015年1月

2015年1月29日 (木)

va bene !

ヴァ ベーネ(va bene 了解)って言っちゃった!

本当は、ヴァ ベーネなんかじゃないのに・・・

もしあの時「私には無理です」って言ってたら、
今頃、どんなに楽だろう。

私は昔から、人前でピアノを弾こうとするとドキドキして
平常心を失い、脳と指先の接続が壊れ、
そんな自分との格闘に汗が噴き出てしまう。

そんな私が、来月のモーツァルトのオペラコンサートで、
伴奏を務める。

全ての曲を担当する訳ではないけど、
また今日も2曲新たに増えて、10曲になった。

昨年の9月、中国人留学生のサベリオが、生れてはじめて、
観客の前で歌を披露した。

すると、シエナの合唱団に所属する とある男性がブーイングをした。

サベリオは気が動転してしまい、
それから、フィナーレが狂ってしまった。

街中に住むサベリオは、近所迷惑を考え、思う存分に歌の練習が出来なかったので、私の家に通って練習をしていた。

本当だったら、
9月のコンサートでは私が伴奏をするはずだったけど、
以前から、日本への帰省の航空券を買ってしまっていたので、
当日、伴奏が出来なかったけど、もし私がいたら、
最期に思いっきり「ブラーヴォ!」と叫びたかった。

人生初めてのステージで傷ついたサベリオも、
来月のコンサートに出演する。

19歳の彼は、
「緊張」「怖い」「不安」と言った言葉を発する代わりに、
「ヴァ ベーネ(va bene了解)」と穏やかに答える。

まだイタリア語もおぼつかないのに、
イタリア語とドイツ語の歌詞を暗譜して、檀上で演技を交えて歌う。

そんな彼の成長が、とっても眩しい。

社会科学者のエイミー・カディ女史が、こんな事を言っている。

「態度は効果を生み出す。体・態度が心に影響を及ぼし、
 心が行動に影響を及ぼし、行動が結果に影響を及ぼす。
 態度ありきなんて、“振りをしているようで嫌だ ″
 と思うかもしれない。でも、振りをし続けるうちに、
 “ああ、やれている!本物になれてる、ちゃんとやっている!”
 に変えていくことが大事」と。

音大を出ていない私は、
「ここに私がいるべきではない」と思ってしまう。

でも今日から、委縮した態度を改め、大丈夫な振りをしよう。

そして、納得がいくまで練習しよう。

歌い手は、一泊、拍子を間違えるかもしれないし、
デュエットで上手くかみ合わないかもしれない・・・

だから、コンサートに向けて伴奏の完成を目指すのではなく、
コンサートでは、相当、柔軟に対応できるようになっていなければならない。

そして、穏やかな顔で、欲を言うと、楽しみにながら演奏したい。

自分と戦う今日この頃です!

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2015年1月28日 (水)

冬の日のワンシーン

前触れもなく、突然、ウリッケの家を訪ねた。

彼女は、森の中で動物たちと暮らしている。

ウリッケと同い年のパトリッツィオ、そしてアンナは、
彼女に会うのが初めてだけど、私は、この4人の間には、
ハーモニーがあると何となく感じていた。

私たちは暖炉の前に腰掛け、薄暗い部屋の中で様々な事を語った。

お互いが、相手の話に耳を傾けている。

自分の意見を言えるスペースがあり、それに誰かが追随し・・・
会話の流れは、アップテンポになったり、スローになったり、
そして長い休止符があったり・・・

パトリッツィオの愛犬、モッラちゃんも、
ウリッケの2匹の犬に馴染んでいる。

ウリッケもアンナも、イタリア人ではないけれど、
女手一人で、経済的な援助を得ることなく子供を育て、
それぞれの人生を、生き生きと描写して語り、
時々、今、抱えている問題や辛さをちょっぴり漏らしたりする。

一匹狼的な大人の女性たちからは
尊重と謙虚さ、そしてユーモアと逞しさが滲み出ている。

何気ない一時だったけど、
素の自分のままで居られることが心地よくて、
純粋でポジティブなエネルギーをチャージできた。

冬だから、温かなものに寄り添いたい
と思う今日この頃です。

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2015年1月27日 (火)

悪戯メールにご注意ください

皆様、今日は。
シエナの大多和聖美です。

私のメールアドレスを使用して、一部の方に悪戯メールが流れております。

私が皆様にメールを送信する際は、
タイトルに趣旨を記載し、また、文面も、挨拶から綴り始めます。

悪戯メールの場合は、
タイトルも意味不明で、文章もなく、ただ、
ウェブサイトのアドレスが添付されています。

私のメールアドレスであっても、
訳の分からないメールは、破棄してください。
絶対に、そこに添付されているアドレスをクリックしないでください。

ちなにも、私は、常にアンティウイルスをしており、
私のコンピュータは正常です。

一部の方にはご迷惑をおかけして申し訳ございません。

宜しくお願いします。

シエナ/大多和聖美

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2015年1月19日 (月)

今日の冒険

アンナとマウロ、そしてパトリッツィオと
アペリティーヴォを楽しんだ。

1月だというのに暖かく、外のテーブルで過ごしたけど、1本のワインが空になる頃には、糸杉の輪郭も分からなくなるほど辺りはダークブルーになって、冷たい空気が漂い始めた。

「さて、モッラも車で待っていることだし、
 もう帰らないとね」

私たちはまた近いうちに会う約束をして、車に戻った。

さっき川遊びではしゃいでいたモッラの毛は、
まだ少し湿っている。

車を走らせ、3分ほど過ぎたところで、
「見て見て、ほら!」とパトリッツィオが口走る。

彼の視力は抜群で、
遠くの林に潜む鹿や路上にいる小さなカエルまで、
何でも目に入る。

暗がりの中を走り抜ける影を見て、
私たちは子鹿だと思った。

しかし影は草むらに逃げこむことなく路上をうろつき、
そのまま直進し続けた。

そして、道路脇には綱を持った男性の姿があった。

車内で大人しくしていたモッラも興奮して吠えている。

犬の言葉は分からないけど、
モッラも、私とパトリッツィオと同じ気持ちでいる。

パトリッツィオは車の窓を開け、
逃走している犬にモッラの臭いを感知させ、
なんとか寄りつかせようとした。

田舎道だけどカーブがあって、
前方後方から車がやってくる。

ふと気づくと、路上の犬は2匹になっていた。

「あれ、2匹の犬が逃げてたのかしら?・・・
 あっ、モッラだ!」

モッラはいつの間にか車の窓からピョンと飛び降り、
失踪する犬と路上でじゃれ合っている。

このままじゃ、引かれちゃう。

「モッラー、モッラー」

大声で呼ぶと、モッラは私を目がけて猛スピードで戻り、その後を、失踪犬がついてきた。

戻ってきたモッラは、いつもの癖でゴロンと横になり
一瞬お腹を見せると、また興奮して走り出そうとしたので、私はもがくモッラにかぶさり、羽交い絞めにした。

そして、近づいた疾走犬はまた向きを変えて走り出し、
とうとう姿が見えなくなってしまった。

綱を持った男性が私たちの車に追いついた。

彼もかなり動揺している。

「名前は何ですか? 叔父さん、犬の名前!」

「知らんのだよ。今朝、友達から預かったばかりで
 飼い主は今日から旅行に出てしまって・・・」

「犬を見つけて捕獲することが出来たら、連絡します。
 電話番号を教えてください」

そう言って、パトリッツィオと男性は
お互いの電話番号を携帯に入力しあった。

帰り道、私達は一縷の望みを抱きながら観察したけど、
影は現れることなく、私の家に到着した。

「犬、家に帰ってくれるといいな~」

「帰れるさ。心配なのは、車に引かれないことだ」

するとその時、
パトリッツィオの携帯がブルブルっと振動した。

「あ~、はい。ふん・・・ファンタ~スティコ! 
 si, si....美味しいビスケットをやってください
 ボナセーラ」

さっきの男性からの電話だという事は、
私にもすぐに分かったし、
パトリッツィオの「素晴らしい!」との相槌から、
良い知らせだという事も分かった。

電話を切るパトリッツィオに、
「それで、それで~!」と迫ると、

「キヨミに色々な想像をさせてあげるから、
 言わな~い」とじらす。

私は大声をあげて「教えてよ~!」を繰り返しながら、
彼をゆさぶった。

「今日の11時に犬を預かった。そしてランチをして
 夕食を食べる前に、散歩に出かけた。
 最初は大人しくしていたけど、
 車の通りがある道路に出た途端、
 首輪をふりきって、逃げ出した。あの後、
 彼が家に戻ると、犬は門で待ってたんだって。
 そして、犬の名前はミルコだそうだ」

私は、嬉しくて大きく叫び、

隣でパトリッツィオも
「感激するな~」といって涙をぬぐった。

「きっとモッラに言われたのね。
 家に帰りなさいって!」

ハプニングがハッピーエンドで終わり、
さっきの出来ごとが冒険になった。

喜びを皆で共有できて、いい気分です!

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今日の勉強!

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2015年1月18日 (日)

大人のマナー

来月、シエナでモーツァルトをテーマとしたコンサートをすることになり、その練習の為、クララの家に集まった。

ソプラノの一人、ウリッケはドイツ人女性。

大柄の彼女は、
いつも大きな笑顔と賑わいをもって登場するので、
室内が喜劇舞台のように生きてくる。

「はい、これ! 魔笛の衣装に役立つでしょ!」

ウリッケは
孔雀や鶏の羽根が詰まったビニール袋を差し出した。

「いつもね、鶏たちは私を見ると、
 餌をくれると思って、トコトコ寄ってくるの。
 でも、毛をむしって以来、私を見ると、
 ノーノ―、ノーノ―! って逃げてってしまうわ!」

腰に手を当て、豪快に笑う彼女につられ、
私たちも吹き出した。

彼女は、キャンティクラッシコで知られる素晴らしい場所で、アグリトゥリズモを経営している。

犬2匹、猫8匹、そして30羽の鶏と生活を共にするが、
鶏が鳴く時間はまちまちで、
夜中の2時や3時にも鳴いてしまうらしい。

以前、アメリカ人の弁護士が宿泊した際、
深夜の鳴き声にクレームをつけてきたので、
彼女は鶏にテラコッタの鉢をかぶせ、
鳴き声が響かないようにした。

ポコポコと置かれた鉢の光景を想像すると可笑しくて、
それをパトリッツィオに話すと、

「そんで
  その鉢植えでは、卵の木が育っているかい?」

とユーモアで答えが帰ってきた。

大きな笑顔で人に親近感を与えること、
ユーモアを口にすること、
その場の空気を温めること・・・

シエナにいる50代~60代の友達から、
そんなマナーを学んでます!

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2015年1月17日 (土)

30秒で学べること

パトリッツィオとバールでお茶をしていたら、
ドアが開いて、アフリカ人男性が姿を見せた。

「子供に、何か甘いものを食べさせてあげたいんです。
 恵んでくれませんか?」

乳母車には2歳児くらいの子供が眠っていて、
男は店内に入ることなく、
入口で手のひらを差し出している。

「仕事が見つからないんです。お腹が空いてます」

静まり返った店内の空気をかき消すように、

「だったら、レストランに行って頼めばいい」
とバールのオーナが返事を投げかける。

「お願いです・・・」

視線をパトリッツィオに戻すと、
彼は小銭入れから小銭を取りだしている。
そして、立ちあがって入口に向かって歩いた。

それを見て、私も慌ててお財布を取り出した。

(こういう時に限って、小銭が無いのね・・・・)

5ユーロを財布から抜き出し、
私も男性に手渡すと席に戻った。

アフリカ人男性が去ると、何事もなかったように、
バールは2分前のシーンに巻き戻しがかけられた。

1月7日、フランスの新聞社がテロの襲撃を受け、
パリでは言論の自由、テロへの抗議を求めて
160万人という大規模なデモが行われた。

一方、1月3日、アフリカのバガでは、
約2000人の住民が虐殺され、
11日、ナイジェリア北東部では少女の自爆が相次ぎ、
沢山の犠牲者が出ているが、
その事についてのデモの報道は、私は知らない。

フランスでの事件の後、
イスラム教の少年が殺される事件も起きているけど、
あまり報道されていない。

ラジオを聴いていると、
イスラム教のジャーナリストが、

「テロリストへ武器を供給するスポンサーは、
 誰ですか?!」

と声をあげている。

パトリッツィオは、宗教の歴史や言動の自由を語らないけど、たった30秒で、私に何かを教えてくれます・・・


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2015年1月12日 (月)

人間性が豊かだから!

この週末は、友達とボローニャで過ごした。

ボローニャのサンタチチリア礼拝堂では、
年間159のコンサートが開かれる。

「サンジャコモ フェスティバル」
と呼ばれるこのコンサートはすっかりボローニャ市民に支持され、この日も礼拝堂は聴衆で埋まった。

このコンサートが生まれた背景が、なかなか面白い。

その昔、神父が浮浪者に食事を振舞い始めると、
その噂をききつけ、
遠方からも浮浪者がこの教会に集まるようになった。

同時に、「浮浪者が増え、治安が悪くなる!」と
市民からの抗議が高まり、それで思いついたのが
市民の為のコンサート。

浮浪者に食事を振舞い、そして市民に音楽を振舞う。

今では見事に、両方の行いが両立している。

18時になると、神父が現れ、

「この前のクリスマスは、経済的に恵まれない人達に
 オリーブオイルをプレゼントすることが出来ました。
 皆様の献金に感謝します・・・・」

と慣れた口調で挨拶をし、

この日のコンサート「愛の音楽」が始まった。

ヨハンがバイオリンを弾き、エリーナがピアノ伴奏を務め、私は、ピアノの楽譜をめくるため、壇上で音楽を聴いた。

ヴェートーベンのロマンスから始まり、
クライスラーやスメタナの曲が続き、
聴衆は愛の旋律に包まれた。

コンサートが終わり、礼拝堂を閉めるというので、
迷惑にならぬよう神父に挨拶をして去ろうとしたが、
神父はかなりのお喋り好きで、早い口調で語り続ける内容はかなり庶民的だ。

今まで見てきた音楽家の変わった癖を語り始め、
そして、パンフレットをめくりながら、
これまで演奏した美人奏者について語り始めた。

「このピアニスト、知ってる?
 金髪で長身、足が長くて、ベッラ・ベッラ(美しい)
 あっ、あの日の奏者もベッラ・ベッラだったよ、
 金髪で足が長くて・・・」

エリーナも私も、少し呆れて、

「ああいう癖のある神父は、たまに会う方がいいわね。
 近くにいたら、うざっとい!」と言って笑った。

シエナに戻り、パトリッツィオに、
神父の尊敬すべき活動内容、
そして女好きの点を報告すると、

「そりゃそうさ。
 神父は人間性が豊かなんだ。女好きも当然だろ!」

と平然と答え、続けて

「キヨミも知ってる、S神父」

「あ~、教会で移民たちのフェスタをする、
 あの寛大な神父ね」

「そうそう。
 今の教会にやって来た理由、知ってるかい?
 前の町に4人の愛人を作って教会を追いだされたんだ」

と言って、クックッと笑った。

「それは それは、人間的ね・・・」

イタリアは、
マンジャーレ(食べる)、カンターレ(歌う)、
そして アモーレ(愛)の国。

それは、人にも自分にも「寛容」の上に成り立っているのだな、と感じる今日この頃です。

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2015年1月10日 (土)

暫し、夢に浸りましょう・・・♪


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2015年1月 9日 (金)

冬のうちに、冬野菜

自然の声が聞きたくなって、ミケーレ農園を訪ねた。

ミケーレとサマンタは、腰を曲げて収穫に勤しみ、
そんな彼らの様子を、
ちょっと高慢ちきな鶏達が眺めている。

ミケーレは黒キャベツ、紫キャベツ、
そしてヴェルツザと言って、
皺のあるキャベツを収穫していた。

黒キャベツは上空に向けて葉が伸びる珍しい品種だ。

「原産地はトスカーナと言われているけど、実は
 トスカーナ州でもリボルノなどでは見当たらない。
 フィレンツェやアレッツォでも採れるけどさ、
 シエナの特産品だと言っていいよ!」

そう言いきるミケーレそのものが、シエナの特産品。
フィレンツェよりも、シエナなのだ。

一方サマンタは、
少し離れた畑でブロッコリーを収穫していた。

「ブロッコリーは、大きく成長したものを切り取った
 後も、ほらッ、葉の付け根当たりから、
 小さいのが成長しているでしょ!」

「あ、ほんとだ!」

「こうやって脇に成るのは、大きくならないの。
 凍りつく寒さだと、ブロッコリーの成長は止まる。
 いつもなら、この小さな部分の収穫は
 12月で終わるんだけどね。
 今年はこの暖かさで、まだ成長し続けているんだ」

この畑には、
ゴチャゴチャと色々な植物が同居している。

「この黄色い花、キンセンカ。
 とても苦くて浄化作用があるから、
 食べ過ぎた後に煎じて飲むといいよ! 
 それに、臭いが強いから
 蚊除けのオイルにも使われているんだよね」

「へぇ~、知らなかった!」

彼らが収穫している野菜は、
明日の朝、シエナの青空市場に並ぶ。

冬だけに与えられた美味しさを、
今のうちに堪能しなければ! 

と改めて感じる今日この頃です。

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2015年1月 6日 (火)

冬の散歩

この時期、ランチを終えた14時半頃に家を出ると、
外気も少し丸みを帯びて気持ちよい。

パトリッツィオの愛犬、モッラちゃんを連れて
森を散策した。

「キヨミ、北の方角、分かるかい?」

「北? 太陽があっちにあるから・・・」

「太陽を見なくても簡単さ! 
 樹を見て。苔の生えている方角が北だよ」

「なるほどね~!」

車を走らせ、ワインの産地を横切っていく。

剪定を済ませた葡萄畑とそうでない畑があり、
同じ土地でも、
生産者による取り組み方の違いに興味が沸く。

乗馬クラブがあったので、馬に近づくと、
「中には、噛みつく馬もいる」
とクラブのオーナーが言うので、
撫でたい気持ちを抑え、
もう少し、お近づきの時間を設けることにした。

自然に包まれて、今日もご機嫌で~す!

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2015年1月 4日 (日)

今日の勉強


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2015年1月 3日 (土)

ずっと身近な事

また薔薇の花が増えた。

大晦日のシエナは、どのレストランも満席で賑わって
いたけど、カンポ広場に近い移民が経営するこのバールはガラガラで、私たちは唯一の客となった。

ワインを飲んでいたら、褐色の肌をした少年が
薔薇の花束を抱えて店内に入って来て、
私達のテーブルで停まった。

パトリッツィオは黙って少年に10ユーロを差し出すと、
少年は薔薇の花を私に置き、
沢山の小銭でお釣りを揃えた。

「枯れ始めてるな。持ち歩かなくてもいいんだよ。
 邪魔だったら、そこらに置いてけ」

パトリッツィオはそう言うけど、私にとっては、
綺麗にラッピングされた花束や高級な胡蝶蘭より
この薔薇が嬉しい。

この時、外の温度はマイナス12度。

私たちより遥かに薄着の少年は、
店を渡り歩いて生活費を得ようとしている。

ちなみに同日、
私たちの税金で給料を得ているローマの交通警官の
85%は病欠をした。

「ペストより深刻だな!」とパトリッツィオは笑った。

地位があり話術に長けた人の思想を聞くと、
偉いな~と思うけど、
川に行くとゴミを拾って帰ったり、
移民からモノを買ったり、
そういう事をさり気なくやっているパトリッツィオも
負けずに偉い。

10日ほど前、イタリアのテレビで、
富士山のゴミを拾う日本人少年が紹介されたらしい。

パトリッツィオはその少年の事を語る最中、
感動にのまれて一瞬、涙を拭いた。

私も何だか影響を受け、
元旦の朝に ごみ袋を持って家の近所を歩いて回った。

ゲームセンターの ぬいぐるみを釣るマシーンのように、
棒でつまんだ空缶やタバコの箱がゴミ袋に入ると、
獲得できたようで面白い!

大袈裟に構えたり考えを練ったりせず、
「単純で小さな事に気付いたら実行!」
を重ねた方が健全かな?

と思う今日この頃です。

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今年も宜しくお願いします!

明けましておめでとうございます。

2015年、皆様に心身の健康がありますように。

そして、皆の豊かな精神が、
平和の力を強めてくれますように。

私は、羊のように のんびりペースでいきます。

身の回りに存在する真実に気づき、今を深く味わう事が、人生を豊かにしてくれるような気がして・・

今年もどうぞ、宜しくお願いします。

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