30秒で学べること
パトリッツィオとバールでお茶をしていたら、
ドアが開いて、アフリカ人男性が姿を見せた。
「子供に、何か甘いものを食べさせてあげたいんです。
恵んでくれませんか?」
乳母車には2歳児くらいの子供が眠っていて、
男は店内に入ることなく、
入口で手のひらを差し出している。
「仕事が見つからないんです。お腹が空いてます」
静まり返った店内の空気をかき消すように、
「だったら、レストランに行って頼めばいい」
とバールのオーナが返事を投げかける。
「お願いです・・・」
視線をパトリッツィオに戻すと、
彼は小銭入れから小銭を取りだしている。
そして、立ちあがって入口に向かって歩いた。
それを見て、私も慌ててお財布を取り出した。
(こういう時に限って、小銭が無いのね・・・・)
5ユーロを財布から抜き出し、
私も男性に手渡すと席に戻った。
アフリカ人男性が去ると、何事もなかったように、
バールは2分前のシーンに巻き戻しがかけられた。
1月7日、フランスの新聞社がテロの襲撃を受け、
パリでは言論の自由、テロへの抗議を求めて
160万人という大規模なデモが行われた。
一方、1月3日、アフリカのバガでは、
約2000人の住民が虐殺され、
11日、ナイジェリア北東部では少女の自爆が相次ぎ、
沢山の犠牲者が出ているが、
その事についてのデモの報道は、私は知らない。
フランスでの事件の後、
イスラム教の少年が殺される事件も起きているけど、
あまり報道されていない。
ラジオを聴いていると、
イスラム教のジャーナリストが、
「テロリストへ武器を供給するスポンサーは、
誰ですか?!」
と声をあげている。
パトリッツィオは、宗教の歴史や言動の自由を語らないけど、たった30秒で、私に何かを教えてくれます・・・
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