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2014年12月29日 (月)

笑う門に福来て、来て!

友達四人が集まり、レストランで食事をした。

クリスマスに食される肉は地域ごとに異なり、
アメリカでは七面鳥、スペインのマドリッドでは子羊、
北イタリアでは、ザンポーネと言って
豚のひづめ付前足に様々な部分の肉を詰めた
巨大ソーセージのようなものを食べ、
ここシエナでは、
去勢された雄鶏の煮込みカッポーネを食べる。

当然 私たちは、カッポーネを注文した。

シエナ育ちのMは、
「母さんが作ってくれた味とはかけ離れてる」
と感想を述べ、

「マンマごとに、レシピは異なるからな」
とパトリッツィオも同意した。

肉を平らげ、注意のよく行き届いたカメリエーレに
お皿が引き取られると、
今まで避けていたある話題に移っていった。

「酷いと思わない? 
 クリスマスの2日前に解雇を知らされるなんて。
 私ね、彼のお父さんの介護の女性と、
 コープで買物をしていたの。
 相当混んでたわ。
 レジに並んでいたら電話がなって その知らせを受け
 思わず、泣いちゃった。
 お店を出ると、
  巨大な体系をしたポーランドの介護女性が、
 “何、あった?”と聞くから、訳を話したの。
 そしたら、少し間を置いて、
 “泣いた理由、それだけ?”と言って手を振りかざし
 (やってらんないよ~、全く)
 と言った感じであしらうのよ!」

そう言いながら彼女は笑うもんだから、
私たちも笑ってしまった。

「凄いのよ、そのポーランド女性。混んでる店内で、
 普通だったら、避けながらカートを引くでしょ?
 彼女の場合、ガーンッ、ガーンッ、て
 周りのカートを弾き飛ばしながら、
 わが道を進んで行くの!
 みんな、(アワワワワ・・・)って驚いてた」

「その彼女、幾つなの?」

「63歳よ。彼のお父さんの事も、
 ヒョイッて軽々持ち上げちゃうの。朝食の時、
 “ブリオッシュ、ビスケット、どっち選ぶ”って
 聞くから、お父さんが“ブリオッシュ”って答えると
 豪快にちぎって、丸めて、
“へい、お待ち。美味しいブリオッシュ!”って
 力強く手渡すのよ」

深刻な話題だったのに、ラテンだと
どうしても笑いの方向へと向かってしまう。

「そんでオヤジさん、
その巨大介護婦に喜んでるのかい?」

とパトリッツォがMに尋ねると、

「ああ、オヤジは満足してるよ」と上機嫌。

「そう言えば、俺の93歳になる叔父さんは
 ペルー人の介護がいる。
 ある日、彼女はバカンスをとって来れなくなった。
 急遽、やってきたのが大男さ。
 男は日頃、大工をしてるから、
 食事も掃除も全くダメで、その日の事をつまみに
 叔父さんが可笑しく語ってくれたよ」

とパトリッツィオがつい先日の事を語った。

イタリアには、介護の職を求めて、ルーマニアや
ポーランド、ペルーから沢山の女性がやってくる。

祖国には孫のいるような年齢だけど
50代~60代の彼女達は、驚くほどの体力と気力があり、
イタリアのお年寄りに元気を与えてくれる。

ある御爺さんは、急に友達の来訪が増えた。

皆、彼の介護さんと挨拶を交わしたいのだ。

人それぞれ、色々な考えがあるけれど、
お金を沢山持っている人が その分、笑って暮らしているか?というと、そうでもない。

解雇された彼女はとても明るい性格で、
いつも周囲を笑わせてくれる。

始めの一歩さえ踏み出せば、何かしら出来るはず。

問題を抱えていても、
テーブルに笑いを提供してくれる彼女を眺め、

「私も、この逞しさを見習いたい」

と、感化される今日この頃です。

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