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2014年10月19日 (日)

ダリオ

ここ数日、ダリオに作業を手伝ってもらっている。

来てもらった初日、
「ありがとう。助かったわ。今日の分ね」と心添えを渡すと、

彼は「キヨミ、そんな・・・受け取れないよ」
と言って受取らないので、パトリッツィオに携帯した。

「ねえ、あなたの息子、ダリオを説得して頂戴。
 今日の御駄賃、受け取ってくれないのよ」

携帯を切った後、
ダリオはお金の入った封筒を申し訳なさそうに受取り、
「Grazie」を何度も繰り返した。

3日目、ダリオは作業に慣れ、もくもくと取り組んでいる。

「ダリオ、今日は16.30まで働いて頂戴。
 その後、私をオリーブの圧搾所まで車で連れて行ってくれる?」

ダリオは、オリーブ農園でも助っ人で働くので、
そこには彼を知る人が何人もいた。

「私は圧搾所に残るから、もう、帰っていいわ。
 あなた、19:30には家族揃って、食事でしょ?」

「キヨミ、僕も残る。そして、キヨミを車で送っていく」

「いいわよ。何時になるか分からないもの。
 誰かに送って貰えるかもしれないし・・・」

何度言っても、ダリオはそこに居続けてくれた。

19時を過ぎ、私たちは現場のスタッフに挨拶をして、車に戻った。

「ねえ、ダリオ。どっかで食べていかない?」

「うん。いいよ」

「あなた、何が食べたい?」

「ピザが食べたい…」

「了解。どこか、お店 知ってる?」

「うん。カモリア門の外にある教会前のピッツェリア。
 ピザというと、僕はいつも、そこに行くんだ」

ダリオが言う店は、持ち帰り専用店で、
立ち食いも出来る若干のスペースがある店だ。

「それか、この辺りに美味しいピッツァのお店があるはずよ・・・
 あった!あそこの角の店。あそこに行きましょう!」

土曜の夜だけど、席は十分にあり、私たちは屋外席に着いた。

でも厨房は活気があって、
私たちのテーブル脇を、ピザの箱の山を抱えた客がよく通り過ぎる。

私はラグースパゲッティをオーダーし、
ダリオはポルチーニ茸のピザとコカコーラをオーダーした。

私は、ダリオの農園での仕事の話に耳を傾けていたけど、
そのうち、レストランの思いで話に代わっていった。

私とダリオ、そしてパトリッツォの三人で、
3年前まで、レストランをしていた。

私は料理、ダリオはウエイター兼皿洗い、
そしてオーナーのパトリッツォは会計担当だ。

「さっきの圧搾所、皆のお喋りで賑わいがあって、
 ああいうの、いいね。
 レストランで働いていた頃、
 “ダリオ~、お客とお喋りしないで、働きなさいよ~!”って
 プリプリ怒ってたけどさ。私もあれから変わったのよ」

「誰かさん、よく、コップを壁に投げつけてたね」と言い、

下を向いて肩で笑うダリオ。

「それに、キヨミは怒ると家に帰っちゃったから、
 僕は、何度も謝りに行って連れ戻したっけ・・・」

私はここ3年でとても変わったけど、
ダリオは当時から変わらず、穏やかだ。

食べ終わると、ダリオが席を立って店の中に入るから、
私も慌てて、彼を追った。

「僕が払う」

彼に渡した僅かな作業代から支払おうとするので、
私は強い口調ではねのけた。

「ダリオ、ここは私が払う。
 ほら~、テーブルに私のカバン、置きっぱなし。見張ってて!」

私もダリオも、そしてパトリッツィオも、どこか不器用だけど、
心の底に流れるものが同じだったりする。

今年の「秋の味覚セット」や絞たてオリーブオイルの発送、
二人の助っ人に支えられ、頑張ります!

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