田舎のバス
早朝、街での用事を済ませると、
すぐにバスで家に戻った。
街に向かうバスの車内はせっかちだったけど、
今度は打って変わってノンビリしている。
「シニョーラ、薬局に行くんですよね~?」
運転手がミラー越しに、
松葉づえを握ったオバサンに呼びかける。
「そうだよ」
すると運転手は、
バス亭から200メートルほど離れた薬局前で停まった。
「グラッツェ、優しいねぇ」そう言って、
オバサンは足元に気をつけながらバスを降りた。
暫く行くと、また、運転手が声をあげた。
「シニョーラ、この付近でいいんですよね~?」
「スィー」
するとバスは、これもまたバス亭など見当たらない円形交差点で停止した。
「グラッツェ」と言って年配の婦人が下車した。
このバスの運転手は、大らかだ。
昨日の夕方は、混み合ったバスの中で、
「後ろ~!」と学生が叫んでいた。
バスから降りる人は、
中央部のドアから下車することになっているけど、
学生たちはバスの後部席にいたので、
後部のドアを開けてほしく、そう叫んでいる。
すると運転手は、
「後ろ~とは何だ!
人に頼む時には言い方があるだろ!
教育がなっとらん!」と言って
頑固に開けなかったので、
学生たちは、バスの中央部のドアからしぶしぶ降りた。
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