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2014年10月12日 (日)

こんなフィレンツェも居心地がいい

ランチ時のフィレンツェ。

移民が多い路地を歩いていると、
店の入口で太った女性がタバコを吹かしていた。

「えっ?ここはないでしょう?」

自問しながらも何故か、
その店に足が向かってしまった。

店内には小さなテーブルが3つ。

先客のイタリアオヤジと軽く目で挨拶を交わして、
隣のテーブルについた。

ガラスケースに、見栄えが悪いお惣菜が並んでいる。

白ワインをグラスで頼み、少し迷ったあげく、
白いご飯と肉団子を3つ、
その上にチリソースをかけてもらった。

お金を払ってこんなに不味いものを食べたのは初めてだ。

でも、予想通りだったので、動揺はしなかった。

先客のオジサンは、私が日本人だと知ると、

「アベ・ケンシロウという偉大な人物がいたよね。
 俺、昔、柔道をやってたんだ」と言い、

それから、カラブリア出身で
35年間フィレンツェに住んでいる事、
母親はタバコ工場で顕微鏡をのぞきながら、
良いタバコと悪いタバコを分ける仕事をしながら
5人の子供を育てた事など、
身の上話をして、世知辛い話題もした。

入口でタバコを吸っていた女は、
最初はフテブテしくて視線を反らしていたけど、
私たちの会話に加わってきた。

ルーマニア出身で、
今の彼と結婚をして5人の子供が欲しいこと、
結婚する前にダイエットしたい事等、
若い子らしいお喋りをし、また私にもよく質問をした。

店の外では、体格の良い男が大瓶のビールを飲み続けていて、4本目に入っていた。

「あの客、ロシア人よ。だから、
 この太った私を見て、美人だなんて言ったんだわ!」

と言って、喜んでいる。

途中、イタリア人青年が店先に現れ、
「店の音楽のボリュームを下げてほしい」と言ったので、店の音楽は消えたけど、音楽がないほうが、ホッとできた。

この店に入る前、
お洒落に改装された中央市場にも入ってみたけど、
そこで食べた方が、絶対に美味しかったはず。

でも、この目立たぬ店で、
フィレンツェという都会に存在する素顔に触れながら過ごす時間も悪くないな、と感じた今日この頃です。

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