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2014年9月 6日 (土)

今年の葡萄は、どんな感じでしょう?

「今年の葡萄は、どうですか?」

この季節になると、
レストラン関係者やワイン好きの方から、
こういったメールが入る。

「今年もいい感じです!
 美味しいワインが出来そうですよ!」

なんて事を言えたら、どんなに楽だろう。

今年は2002年と類似している。

2002年、あまりの多雨の為、
ブルネロの創始者「Biondi-santi」をはじめ、
いくつかのワイナリーではブルネロ作りを断念し、
収穫した葡萄は、ワンランク下の格付ワインや
テーブルワインに回された。

2002年と2014年の違い。

それは、今年はまだ希望が残されている、ということ。

2002年、夏から続いた雨は、
収穫時期に入っても止むことがなかった。

しかし今年の夏は、雨と晴れ間が交互に訪れ、
9月に入った今、日中は残暑が感じられる。

ブルネロ用の葡萄の収穫まで、あと約1カ月。

この時期、ブルネロ用の葡萄に栄養を凝縮させるため、
いくつかの房は切り取られ、大胆に葉を取り除き、
葡萄に直射日光を与る作業が行われる。

これまで、葉っぱは、葡萄を雨から守ってくれていた。

しかし、これからは房が空気にさらされ、
多雨が降ると、どうしようもなくなる。

水分を含んだ葡萄の成分が薄まるだけではなく、
水を吸収しすぎると、葡萄の粒が膨らみ、
いくつかの果肉は破裂し、果汁が周囲に飛び散り、
そこからカビが発生しはじめる。

そうなると、健康的な葡萄の収穫量が少なくなる。

今年、葡萄を手掛ける農夫達は、
雨によるメンテナンスの為、通常以上に働いてきた。

これからも、葡萄達への働きかけは続く。

昔、シエナのエノテカで働いていた頃、
2007年ヴィンテージについて、世界中のジャーナリストが最高な褒め言葉で書きあげので、この年のワインが飛ぶように売れていたことを思い出す。

自然環境をそのまま受け入れた葡萄は、
酵母と酸素の協力を経てワインに変わり、
発酵期間も、熟成期間も、
そして、瓶詰めされてからも生き続ける。

『有名大学卒業者=優秀な人格』と、
人間の価値を測れないのと同じで、
『良好な天候のコンディション=価値のあるワイン』
とは言いきれない。

アルコール分が強いワインが好きな人もいれば、
少し軽めの飲み口の方が合う人もいる。

世界中で、規格の統一された商品が流通される中、
ワインを始め、自然と人間とのコラボレーションで
生み出される商品は、今までとは違った角度の「品質・価値観」をもって、消費者を楽しませてくれるんじゃないかな?

そうあって欲しい・・・



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