我孫子 手賀沼の散策2
手賀沼の橋に近づくと、
母は、「節子さんのところに行こう!」と言った。
節子さんとは、早朝の散歩を日課とする母の友達で、バラック小屋で朝の4時からお昼まで、八百屋を営んでいる。
到着すると、
母が「あ~ッ!」と声をあげ、興奮して言った。
「これよ、この兎。ほら、数日前に、
我孫子で野兎を見かけたって言ったでしょ!
きっとこの子よ!どうしてあんた、ここにいるの?」
声を聞きつけ、節子さんが姿を見せた。
初めて見る彼女の、大きな笑顔に私は包み込まれた。
一瞬で、この人に受け入れられたことを全身で感じた。
母はよく、節子さんに私の話をするし、
私にも節子さんの話をするから、居心地が良かった。
「ある日、男性が兎を持ってきたのよ。
野良猫に首の後ろを噛まれて、
ブルブル震えていたんだって。
このままじゃ、猫に狙われるからって、
捕獲して、ここに連れてきたの。
頭を撫でると、気持ちよさそうにするのよ。
飼われてたのね。
色々な野菜をやったら、キャベツが一番好きみたい。
その男性、スッポンまで連れてきたから、
何だか色々と増えちゃってね…」
兎の裏では、
去勢手術を終えた雄猫が、椅子の上で眠っている。
手術をしたら、女らしくなった、と言って笑ってた。
節子さんは、「ねえ、これ持ってって!」と言って、
沢山のキュウリと梨をお土産に持たせてくれた。
母もよく、家にあるものを御裾分けしているらしい。
(イタリアでも日本でも、
自然や動物を愛する人のいる風景って、似てるな~)
昔は、「イタリア(人)は」「日本(人)は」と定義したがっていたけど、価値観を共有する人間同士って、どの国でも、ご近所さんになれるんだな、と思う今日この頃です。
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