途中下車
御客様に頼まれた商品を調達して、帰りのバスを待つ。
バスがやってきたけど、
行き先は残念ながら、私の家まで届かない。
荷物が無かったら終点から歩いて帰れるけど、
7キロのダンボールを抱えて坂道を登るのはキツイ。
でも、私はこのバスに乗った。
そして、ひっそりと建つ、いつも客の入っていない
中華レストランの前で下車した。
「ボンジョ~ルノ~、誰かいますか~」
私の声を聞きつけて、奥から中国人の女将が現れた。
「チャオ、チャオ!
テイクアウトしたいんだけど、急ぎで出来るかしら?
30分後に通過するバスに乗りたいの。
そうだな~
海老と野菜の炒め物4人前と、チャーハン、3人前。
一度に買って、あとは冷凍しとくわ!」
すると女将は、メモを取って小走りに厨房に行き、
中国語を威勢良く放った。
そして、10分も経つと、袋をさげてやってきた。
店の外でバスを待つけど、時は20時。
袋からの匂いが気になってしょうがない。
私は、店に戻った。
「すみませ~ん、スプーン頂戴!
待ってる間に、食べたくなっちゃった~!」
すぐに女将さんは、プラスチックのスプーンを持ってきてくれて、私は、店の屋外席で、チャーハンを食べ始めた。
食べていると、厨房から中国人の旦那が出てきて、
バスがやってくる方向を見つめている。
私が、バスを見過ごさないように、
道路に立っていてくれている。
「グラッツェ!」
昔、このレストランで食べた時、
注文を取りに来た女将さんは無愛想で、
私が挨拶しても、そっけない態度をとっていた。
今では、バスの中で見かけると、ニコッとして、
お互い、手を振り合う。
この店の料理は、調味料が効きすぎていてビールが進み、翌朝は、顔がパンパンになってしまう。
でも、時々、この中華レストランを使っている・・・・
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