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2014年6月27日 (金)

ドイツ語話せる人、いませんか?

歌の先生クララは、明日から海へ行く。

その前に、
中国人留学生のS君に「魔笛」の宿題を出した。

ドイツ語のアリアだ。

「キヨミ、ドイツ語分かる?」とクララに聞かれ、

「全く分からない! でも大丈夫。 
 誰かしら見つけるわ!」

と楽観的に答えた。

クララの家を出て、私はパトリッツィオに電話をした。

「ねえ、ガブリエーレの奥さん、ドイツ人でしょ! 
 あるアリアの歌詞をドイツ語で朗読してもらいたいんだけど、電話番号、教えてくれる?」

「了解。俺が先に電話で聞いてみる」

その後、パトリッツィオから電話が入った。

「キヨミがお金を払えば、快く引き受けてくれるよ。
 ドイツ人気質さ・・・」

「あら? 
 たった2ページのアリアの歌詞を朗読するのに、
 1分もかからないわ。
 私、彼女がいる所に出向いて行こうと思ってるの」

その後、私から彼女に電話をしてみたけど、
会話はどことなく事務的だった。

(そうだ! イタリア語外国人大学には
 世界から学生が集まっている。
 ドイツ人留学生だって、きっといるはず!)

そう思い、バスに乗った。

バスには、日本人女性の友達がいた。

私が、ドイツ人を探している趣旨を説明すると、

「あら、その中国人、お金を払う気がないわけ? 
 いくら、ちょっとした事だからって、
 お金を払わないで済まそうなんて、
 そんな話、通用しないわよ」

と反応された。

「でも・・・例えば、
 ある外国人から
‘日本の歌をきちんとした発音で歌いたいので、
 この歌詞を朗読してくれませんか?’
 って尋ねられたら、
 自分の国の事に関心をもってくれていること、
 嬉しく思わないかしら? 
 1分で朗読出来る内容なんだけど・・・」

それ以上、彼女と話をする気になれず、
私は、楽譜に目を通すふりをして、会話を閉じた。

その後、イタリア語外国人大学の受付でも、
「そういう問合せには、応答できない」と言われた。

(そんなものなのかな? 
 世の中、全て、お金なのかしら? 
 私の感覚が特殊なのかしら?)

少し弱気になりつつ、近でアグリトゥリズモを運営するエリザベッタに相談してみた。

彼女は、北イタリアの出身で、ドイツ語圏に近い。

「ごめんなさい。
 残念ながら、私はドイツ語を話せないけど、
 私の伯父なら、ドイツ語を話すわ! 
 後で、キヨミにメールするわね!」

と明るく答えてくれた。

彼女からメールが届き、
そこには、伯父様がシエナにいる日程と時間帯、
伯父様についての紹介、電話番号が書いてあり、
伯父様は、シエナの音楽学校でドイツ語を話せる教授を紹介する、と言ってくれている、とまで書いてある。

私はとっても感激した。

その後、シエナジャズ学校の講師で、
シエナジャズバンドのディレクターを務めるドイツ人のクラウスとも連絡がとれて、彼も快く引き受けてくれた。

それぞれと電話をする中で、
私たちは、お金の事には触れなかった。

彼らと会う約束をした。

約束の日、
私は、少し上等の白ワインを持参します!

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