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2014年6月29日 (日)

第一次大戦から100年

朝の10時半、
私はエリザベッタのアグリトゥリズモを訪れた。

「ボンジョールノ、キヨミ! 
 ドイツ語の件で、伯父と連絡とれた?」

「ありがとう! 
 伯父様ファウストと、ここで待合わせになったの。
 もうすぐ、彼も到着するわ。
 私からのお願い事なので
 私から訪問すべきなんだけど、車が無いから、
 郊外の伯父様の家まで行くことが出来ず・・・
 この件、諦めかけていたら
 私が君の所まで行くよ!と言ってくれたの。
 わざわざ、30分かけて来ていただくの、悪くって~」

エリザベッタは、
まもなく1歳になるジョルジャちゃんを腕に抱きながら、
「白ワインでも、どう?」と気遣ってくれる。

エリザベッタのお母様も加わり、団欒していると
ファウストが到着した。

とっても気さくな方で、フィーリングが合った。

私はファウストに、中国人留学生S君が歌のレッスンをしている様子のビデオを見せ、そして、ドイツ語で書かれた「魔笛」の楽譜を開いた。

「朗読してもらいたいのは、このページなんです。
 私、この小型カメラで録音します」

ファウストは楽譜を目から遠ざけたり近づけたりして、
ピントを合わせながら読み上げている。

「魔笛の物語、知っているかい?」

「はい。あらすじは、知ってます。
 最初、大蛇が出てきて王子様を襲い、
 その後、闇夜の女王の侍女達3人が登場し・・・・」

「そう。面白いストーリーだよね。私も好きなんだ!」

彼は音楽や歴史が好きで、
これまで数冊の本を書いていることを知った。

カメラのスイッチを入れると、彼はとてもゆっくりと、
そして、ドイツ語の癖のある発音は、特に丁寧に繰り返しながら、オペラの歌詞を朗読してくれた。

「今度、シエナでS君が歌うことがあったら、
 是非、私にも声をかけてくれ!」

「勿論です!」

朗読をしてくれている間、
ファウストの携帯に何度か連絡が入った。

イタリア語が堪能な中国人女性からだ。

彼女はシエナでガイドを始めたばかりで、
ファウストに分からない事をよく相談しているらしい。

昨日、S君に
「中国のご両親と連絡を取れてるの?」と聞いたら、

「はい。毎日、メッセージを送ってます」と答えた。

「電話は?」と聞いたら、
お金がかかるので、電話は出来ないと言っていた。

バールに入っても、彼は、
「お水があるから、大丈夫です」と言って、
リュックから、使い古したペットボトルをとりだす。

イタリアで留学する中国人学生が、
全てお金持ちとは限らない。

親が何年も節約して貯めたお金で来ている人、親戚中から借金をして子供に勉強をさせている人も沢山いる。

丁度100年前、第一次世界大戦が勃発した。

そして、100年経った今、
私達は、利益の為に争い憎み合うことをせず、
芸術というキーワードの基に集まり、
一緒に何かを築き上げようとしている。

100年前、国からの情報を受け取るだけだったけど、
100年後の今、
私達は、個々に連絡を取り合い、
尊重しあいながら、交流することが出来ている。

私は、15年のイタリア生活にしてはイタリア語が下手で、S君も、イタリア語に苦戦中。

脳からのインプットは難しいけど、
「自分はダメだ~」と卑下することなく、
何だか楽しくやれている今日この頃です!

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