チョコレートを食べながら、ふと考えた。
「そういえばこの前、Enzoのお店で、ナオさんは、
Dolceforte(ドルチェフォルテ)という、
チョコレートを使った肉料理を食べてたっけ・・・
でも、チョコレートを使った肉料理って、
トスカーナの郷土料理なのかな?」
トスカーナの郷土料理は、2つのタイプに分かれる。
一つは、貧しくても美味しく食べれる庶民の知恵料理。
カチカチになったパンや、野菜の切りくず、
豆や玉ねぎなどを上手く利用したレシピ。
そしてもう一つは、
メディチ家などから派生した貴族の贅沢な料理。
ネットで調べてみると、ドルチェフォルテは
ルネッサンス時代からあることが分かった。
ブルネロ協会のwebにもこの料理についての記述があり、16世紀後半からあるレシピで、それ以前は、カカオの代わりに蜂蜜が使われていた、とある。
(日本の戦国~安土桃山時代にカカオがあったの?)
更に調べてみたら、カカオの栽培は、
中央アメリカで紀元前2000年から始まったとあって、
驚いた!
1492年に、コロンブスによってヨーロッパに紹介され、
その後、スペイン人によって砂糖が加えられ、
薬としての扱いから嗜好品へと変わっていったらしい。
なるほど。
カカオを使った猪の煮込みは、郷土料理なんだ!
作り方はというと・・・フライパンで、玉ねぎ、人参、
セロリのみじん切りをオリーブオイルで炒め、
茶色く色付いたら、
24時間前からマリネしてある猪の肉を加える。
(マリネは、ローリエ、ジュニパー、
玉ねぎ、ニンジン、セロリ、赤ワインで)
猪の肉に色が付いたら、赤ワインを追加。
ブロードを加えながら
ゆっくりと弱火で2~3時間煮込みます。
水分がなくなったら、ここからが面白い!
干し葡萄、オーブンで炒った松の実、
フルーツの砂糖漬、そしてチョコレートを加えます。
チョコレートを入れることで、
小麦粉を使わなくても
沢山の風味がカカオの脂分に一つにまとまり、
更に、そこにお酢を加え、口中が脂っこくならずに、
唾液と共に、食欲が促進される。
個人的には、芸術的に美しく
(時には、変てこに)飾られた料理よりも、
歴史を感じる料理に惹かれる。
もし、外国人旅行者が小さな食堂に入り、
料理を作る親父シェフ、もしくは、奥さんから、
郷土料理にまつわるエピソードが聞けて、
その歴史的な味を堪能できたら、最高なんだけどな!
若いイケメンシェフがもてはやされるより、
個性のある食堂が増えてくれると、嬉しい!
ユーチューブで、
ドルチェフォルテを作っているサイトを見つけました。
フィレンツェにあるこの食堂は、創業1901年。
4代目のシェフが、
受け継がれてきたレシピを再現しているとのことです。
ボナペティート!