ある中国のインポータ―
ある作り手のブースで、
オーナーに話を伺いながらテイスティングをした。
終盤に差し掛かったところで、
一人のアジア人男性に気付いたので、
「あっ、あの人、日本人男性かしら?
サンプルワインをいくつか持っているということは、
インポーターね。日本人だったら通訳するわ!」
と申し出た。
対応していた女性スタッフに聞くと、彼は日本人ということなので私の隣に座ってもらった。
「今日は~」
すると彼は、「ニイハオ!」と笑顔で答えた。
英語表記で書かれた名刺には、
VITA TRADING会社のポール氏と書かかれている。
その後、私たちは英語で会話をした。
「中国はいまだにフランスワインの勢いが強いんですか?」
「はい。フランスワインのブランド信仰は強いですけど、
ゆっくりと下降してきてますね。あえて私は、
イタリアワインを専門に手掛けているんです」
「イタリアワインだけ、というのも、
勇気がありますね!」
「ええ。フランスワインは品種が限られる。
それに比べて、イタリアは品種の宝庫だ!
私は5つのインポーターと一緒にやってきました。
気に入ったワインを見つけた時、
‘わが社では、300ケースオーダーします'
‘うちは、500ケース’
‘私のところは、200ケース’・・・・
とまとめられて、購入しやすくなるんですよ!」
「なるほど! その場合、それぞれのインポータの方は、同じ価格で販売するんですか?」
「いいえ。皆、バラバラですよ」
「え~!価格競争、生まれませんか?
日本の場合は、
一つのワイナリーを複数のインポータの方が扱う、
ということを避ける傾向がありますけどね・・・」
「これは、私のやり方なんです。
皆、情報を公開して、シェアしながらやってますよ」
以前、私が関わっていた中国のインポータは、
あるワイナリーから年間10万本ほど購入していた。
仕入れたワインを販売するために、
広告にも相当力を入れる。
扱うワイナリーの知名度を上げたところで、
他の会社にこのワイナリーを取られないよう、
独占的な扱いを相当意識していた。
それに比べ、このやり方だと
結果的に色々なワインを仕入れることが出来る。
一つのインポータが、大量にワインを買ってくれると、
ワイナリー側としてはハンドリングが楽だが、
インポータに浮気をされてしまうと、打撃が大きい。
しかし、ポール氏のやり方だと、
どこかしらのインポータからは注文があり、
ワイナリーとの付き合いは続くかもしれない。
「ワインに対する日本人と中国人の嗜好は似ているんです。日本は中国より、ずっと前からワインとの付き合いがあり、非常に詳しので、私たちは、日本のマーケットをよく勉強しているんです」と語るポール氏の話を、オーナーは真剣に聞き入っている。
ポール氏のグループは、明日はシチリア、
明後日はトスカーナへと場所を移し、
ワイナリーを訪問する。
そのバイタリティーに、
私も、ワイナリーのオーナーも驚いた。
このワイナリーは2000年に設立されたオーガニックの作り手で、非常に勢いがある。
様々な賞を受賞し、
あるコンクールでは、
サッシカイアよりも好得点を得ている。
ヨーロッパをはじめ、アメリカ、カナダ、ブラジル、
中国に輸出をしているが、
まだ、日本への輸出の形跡はない。
このワイナリーが手掛ける素晴らしいワインを
ただ今、仕入れ中。
早くて、来月中旬から皆様に発送ができますよう、
お知らせを作成しています。
ご期待ください!
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